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職能資格制度の人事考課をわかりやすく解説――業績考課・情意考課・能力考課の特徴と評価項目 #放送大学講義録(人的資源管理第5回その3)

ーーーー講義録始めーーーー

 

3つの考課要素の詳細と考課項目の特徴

今言いました業績考課・情意考課・能力考課という三つがあるのですが、この中で、日本企業の職能資格制度のもとで相対的に重視されていた考課は何かということです。一般に、短期的な成果だけでなく、職務遂行能力を評価する能力考課が、昇給や昇格といった中長期の処遇に強く結びついていたと考えられます。

あまり先入観を持たずに素直に想像すると、やはり仕事の結果が最も重視されるのではないかと思われる方が多いと思います。しかし、職能資格制度のもとでは、業績考課よりも能力考課のほうが、昇給や昇格といった積み上げ型の処遇により強く使われていたのです。

業績考課、いわゆる仕事の結果の考課については、賞与のように毎年あるいは半期ごとに決められる短期的な報酬にはかなり強く反映されていました。ですから、そちらには強く使われていたわけなのですが、昇給や昇格のように毎年積み上げられていくような長期的な処遇に関しては、業績考課よりも能力考課のほうが強く反映されていました。

このように、仕事の結果だけではなく、仕事を通じて発揮されている職務遂行能力や、そこで培われていく能力のほうが重視されて評価される。これが職能資格制度における人事考課制度の大きな特徴だったのではないかと考えられるわけです。加えて、情意考課によって、組織の一員としての態度や姿勢も評価対象になっていました。

テキストをお持ちの方は表5-1を参照しながらお聞きください。今見てきた業績考課・情意考課・能力考課の細かい項目が例示されています。

 

table5_1_shokuno_hyoka.png

 

これらのような項目を使って評価が行われるのです。

ただし、実はこれらの考課項目は、かなり一般的なものであり、個別の職務内容に厳密に基づいた具体的なものではないということが指摘されています。これも一つの特徴なのですね。

職能資格制度は、もう一つの制度である職務等級制度と比べると、職務記述書を基礎にして職務ごとに厳密な評価基準を作り込む度合いが相対的に弱い制度です。ですから、職務記述書に厳格に基づいた評価が中心になるわけではありません。そのため、職能資格制度の人事考課における評価項目は、個々の職務だけについてのものではなく、多くの職種や職務に当てはまるような、かなり一般的な項目によって構成されることになります。

それゆえ、職能資格制度の人事考課というのは、評価者の解釈が入りやすく、かなり曖昧になりやすいということが言われるわけです。これは、職務に基づく厳密な評価とは異なる、職能資格制度の人事考課の特徴だということになります。