この銅の切削加工工程では、まず原料として銅材8キログラムが投入されます。そしてそれの加工に必要な切削加工サービス――これを物的資本サービスと言いますが――これが1時間。そしてそれに必要な人的資本サービス(オペレーター)が0.2時間――ここに投入されます。結果として、銅の切削加工の仕掛品が1個と、副産物としての銅屑が2キログラム生成されます。この投入・産出関係というものが、ここでの銅の切削加工の原価管理をするのに必要な情報になります。
さらにこの物的資本サービスと人的資本サービスというものはさらに分解されます。物的資本サービスというのは、その切削加工に必要な切削加工装置のコスト――すなわち減価償却費やエネルギー消費など――が投入になって、このサービスがここで提供されるという形になります。人的資本サービスの場合には、切削オペレーターの作業時間が0.2時間分入力されて、サービスが出力されるという形になります。それぞれをテーブルの形で書くことができます。
そして、この情報そのものは、そもそも生産計画の根拠にあるもので、製造計画をするのに必要な情報ということになります。これらはお金の出ないものの単位であるならば、IoTで計測することは可能です。したがって、IoTで計測することによって、より精緻な計画及び計画のシミュレーションということも可能になります。ただし、原価そのものをIoTが直接計測するというより、質量、時間、稼働、エネルギー使用量などを計測し、それを金額評価へ結びつけると理解するのが適切です。
■ 原価計算の具体例
すなわち、ここでは銅材8kg・切削加工サービス(物的資本サービス)1時間・人的資本サービス0.2時間から、銅屑2kgと切削加工仕掛品1個が出たと考えましたが、この時に例えば以下のような単価を仮定します(以下はあくまで計算例です)。

ここでは物的表示がベースで、金額表示は副次的に求められます。したがって、銅材のコストや電力などいろんな条件が変わった時に、仕掛品のコストがいくらになるかというのが、これ自身が実はシミュレーションの単位になっています。資源エネルギー庁の資料では、日本の産業用電気料金は2024年比較で 30.2円/kWh と示されています。
■ 3層のマネジメント構造
この物やサービスの価値形成に関して、タスク単位・プロジェクト単位・プロジェクト集合単位の3層のマネジメントが必要になります。
【図8:3層のIoTベースマネジメント構造】
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│ 第3層:プロジェクト集合単位のマネジメント │
│ (複数プロジェクトへの資源配分・スケジューリング) │
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│ 第2層:プロジェクト単位のマネジメント │
│ (原価計画・実績差異分析・プロジェクト間調整) │
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│ 第1層:タスク単位のマネジメント │
│ (実行管理・状態遷移・IoTによるデータ取得) │
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今まで我々はプロジェクトを中心に見てきましたが、実行管理ではタスクの中を細かく分けて、それをIoTで情報を取ることが必要になります。スケジュールに関しては、複数のプロジェクトに資源を割り当てるという意味でのプロジェクトのスケジュール管理が必要になります。この3層の管理がIoTで高度化することで、新しいマネジメントが可能になるというふうに考えられます。ただし、この3層構造は ISA-95 の標準そのものをそのまま写したものではなく、製造管理と経営管理の接続を考えるための講義上の整理として理解するのが適切です。 ISA-95 は enterprise-control system integration のための標準であり、企業システムと製造制御システムの活動・情報交換を整理します。