ーーーー講義録始めーーーー
ICTが拓く新しい働き方——時空間の制約からの解放
■ ニューメディアの登場と時空間制約の克服
情報技術を活用したコミュニケーションに関しては、エレクトロニクス技術の進展や、1980年代の通信制度改革、たとえば電気通信事業法の制定・施行などを背景として、1980年代にはニューメディアと称されるメディアが大いにもてはやされました。こうして、時間的・空間的制約を克服することが徐々に可能になってきました。
【図2:定められた時間・場所での勤務スタイル(コロナ禍以前の職場のイメージ)】
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図2のイラストは、長らく、そしてコロナ禍が拡大する前まで、多くの企業の職場の風景としてよく見られるものでした。定められた時間に定められた場所で仕事をすることは、ごく当たり前のことでした。一方で、ICTの進展は、こうした時空間の制約から人の働き方を解放する可能性を示してきました。テレワークは「ICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」とも整理されています。
■ 時間的制約からの解放
ICTの進展に加え、労働時間制度の整備が進んだことから、時間的制約からある程度解放された働き方の例として、フレックスタイム制が活用されるようになりました。日本では、フレックスタイム制は1987年の労働基準法改正で制度上明確に位置づけられ、1988年4月から施行されています。コアタイムという共有時間が設けられている場合もありますが、一定の枠組みの中で、始業・終業時刻を柔軟に選択することができます。
■ 空間的制約からの解放
ICTの進展を背景として、空間的制約から解放された働き方の例として、サテライトオフィスを設置する動きが進みました。サテライトオフィス、さらには自宅においても、職場と同様の仕事を行うことが可能になってきました。日本でも1980年代後半から1990年代にかけて、サテライトオフィス勤務の実験や本格導入の事例が見られます。
■ 時間的・空間的双方の制約からの解放
さらに、時間的にも空間的にもその制約から解放された働き方が、1990年代以降、徐々に見られるようになりました。特にコロナ禍の拡大によって、テレワーク・リモートワークといった働き方が一気に推し進められることになりました。コロナ禍前には、テレワークは主として「働き方改革」や「地方創生」の文脈で普及が進められていましたが、コロナ禍以降は、感染リスクの回避やBCPの確保という観点から急速に導入が拡大しました。このような働き方の変化は、人と人とのコミュニケーションの仕方やメディア活用に大きな影響を与えています。
これらの点は、後で見ていただくインタビューの中でも具体的に挙げられています。
