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SDGsとは何か|17の目標・169ターゲット・指標の基本をわかりやすく解説 #放送大学講義録(持続可能な社会と生活第2回その1)

ーーーー講義録始めーーーー

 

SDGsとは何か――概要と採択の経緯

今回は、持続可能な社会と生活をテーマとするこの科目において大変重要な意味を持つ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)について、その内容や理解のポイント等についてお話ししていきます。SDGsは、環境問題だけを扱う目標ではありません。貧困、教育、健康、ジェンダー平等、経済、都市、気候変動、平和、国際協力など、私たちの暮らしと社会のあり方を幅広く問い直すための目標群です。

皆さんはSDGsのカラフルなロゴマークを目にしたことがあるかと思います。SDGsは、「Sustainable Development Goals」の頭文字を取ったもので、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。持続可能な社会を実現するために2030年までに達成を目指す世界共通の17の目標群であり、2015年9月の国連サミットで、国連加盟国の全会一致により採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際目標です。外務省も、SDGsを「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標」と説明しており、17のゴールと169のターゲットから構成され、「誰一人取り残さない」ことを掲げているとしています。

具体的な目標には、例えば目標1「貧困をなくそう」、あるいは目標13「気候変動に具体的な対策を」などがあります。貧困や不平等、気候変動を始め、持続可能な社会の実現に必要な取り組みテーマとは何かを示して、世界が一致協力して問題の解決に取り組む意思を明確にしています。国連の公式サイトも、SDGsを先進国と途上国の双方が協力して取り組むべき行動の呼びかけとして位置づけており、貧困の解消、健康と教育の改善、不平等の削減、経済成長、気候変動対策、海洋や森林の保全が切り離せない課題であることを示しています。

各目標の下には、より具体的なターゲットとして、目標達成のための169の到達点が書かれています。ここで大切なのは、SDGsが「17個の大きなスローガン」だけで成り立っているわけではない、ということです。目標が大きな方向性を示すものだとすれば、ターゲットはそれをもう少し具体的な行動や達成水準に落とし込んだものです。例えば目標1の貧困では、ターゲット1.1として極度の貧困を取り上げ、「1日1.25ドル未満で生活するという極度の貧困状態をあらゆる場所で終わらせる」としています。この「1日1.25ドル」という表現は、SDGs採択文書上の文言として残っているものです。国連統計部が掲載している指標枠組みでも、ターゲット1.1は「現在、1日1.25ドル未満で生活する人々として測定される極度の貧困」を2030年までに終わらせる、という形で示されています。

ただし、ここで一つ注意が必要です。国際貧困ラインは、物価水準や購買力平価の見直しに応じて更新されてきました。世界銀行は2022年に国際貧困ラインを2017年PPPで1日2.15ドルに更新し、さらに2025年6月には2021年PPPで1日3.00ドルへ更新しています。したがって、講義で説明する際には、「SDGsの採択文書では1.25ドルという文言が使われているが、現在の国際的な貧困統計では、更新された国際貧困ラインが用いられている」と分けて理解する必要があります。

そしてターゲット1.2として、各国の定義による貧困状態にあるあらゆる年齢の男性、女性、子どもの割合を、少なくとも半減させることが掲げられています。これは、貧困問題には国際的な基準で測られる極度の貧困だけではなく、各国の社会や生活水準の中で定義される貧困もある、ということを示しています。つまりSDGsは、貧困を途上国だけの問題として扱っているのではありません。先進国の中にも貧困は存在し、子どもの貧困、高齢者の貧困、ひとり親世帯の困難、住まいや教育機会の格差など、社会の内部にある課題として考える必要があるのです。

またターゲット1.5には、自然災害や気候関連の極端現象、その他の経済的・社会的・環境的なショックや災害に対して、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靭性、つまりレジリエンスを高める必要性が書かれています。国連統計部の指標枠組みでも、ターゲット1.5は、気候関連の極端現象や災害に対する曝露と脆弱性を減らすことを内容としています。

このことは、目標1として掲げられている貧困問題と、目標13として掲げられている気候変動問題が、実は深くつながっていることを示しています。たとえば同じ豪雨や猛暑であっても、住まいが脆弱な人、十分な収入がない人、避難手段を持たない人、医療や福祉につながりにくい人ほど、大きな被害を受けやすくなります。つまり、気候変動は単なる環境問題ではなく、貧困や格差の問題でもあります。逆に言えば、貧困を減らすことは、災害や気候変動への備えを強めることにもつながります。SDGsを理解するうえでは、このように目標間の相互関連性を意識することが大変重要です。これはSDGsの特徴をよく表しており、特に注目すべき箇所です。

ターゲットの中には、2030年以外の到達年限や数値目標を定めたものもあります。これは、それぞれの分野で既に国際的に合意された年限や数値目標がある場合には、それを尊重しているからです。たとえば、ある分野では2020年を期限とする国際的な約束が先に存在していたため、SDGsの中にも2030年以外の年限が残っているものがあります。この点からも、SDGsは突然つくられた目標ではなく、過去の国際合意や政策の積み重ねの上に成り立っていることがわかります。国連公式サイトも、SDGsは1992年の地球サミット、2000年のミレニアム開発目標(MDGs)、2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議、2012年のリオ+20など、長年の国際的な取り組みを背景としていると説明しています。

さらに各ターゲットには、進捗を測定するための指標、すなわちインジケーターが定められています。現在、国連統計部の公式リストでは、SDGsのグローバル指標枠組みについて、一覧上は251指標、重複を除く固有指標は234と説明されています。なお、指標は国連総会で2017年に採択された指標枠組みに基づき、その後も統計委員会での包括的レビューや年次精緻化を通じて見直しが行われています。したがって、指標の数を説明する際には、使用する時点の公式リストに注意する必要があります。

また、指標はSDGs採択文書そのものの本文にすべて含まれているわけではありません。国連統計部が、SDGsの進捗を測定するためのグローバル指標枠組みとして別途公開しています。この点も大切です。なぜなら、目標やターゲットは価値や方向性を示す言葉であるのに対し、指標はその進み具合を測るための統計的なものだからです。たとえば「貧困をなくそう」という言葉だけでは、どれだけ改善したのかを比較することはできません。そこで、人口のうち国際貧困ラインを下回る人の割合、国の貧困線を下回る人の割合、社会保護制度に覆われている人の割合など、測定のための指標が必要になります。

以上、SDGsの中心となる目標・ターゲット・指標について簡単に説明しました。しかしSDGsは、これがすべてではありません。結論としての目標・ターゲット・指標だけではなく、それがどのような背景・考え方に基づいているのか、なぜ「誰一人取り残さない」という理念が強調されるのか、なぜ環境・経済・社会を別々ではなく一体として考える必要があるのかなど、国連の採択文書全体をよく読んで理解することが必要です。SDGsを単なる暗記項目として見るのではなく、私たちの生活、地域社会、働き方、消費、教育、政治参加と結びつけて考えることが、この科目での大切な学びになります。

SDGs structure: goals, targets, indicators