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気候変動はなぜ最大級のリスクなのか:ISO 26000とGlobal Risks Reportから考える環境問題 #放送大学講義録(持続可能な社会と生活第3回その1)

ーーーー講義録始めーーーー

 

地球規模の環境問題と気候変動
——ISO 26000が示す4つの課題、そして最大級のグローバルリスク

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今回は、持続可能な発展の中心課題である環境問題についてお話ししていきます。多くの人にとって、地球規模課題として真っ先に頭に浮かぶのは環境問題ではないでしょうか。しかし一口に環境問題といっても、そこにはいくつもの取り組みテーマがあります。ちなみに、組織の社会的責任に関する国際的なガイダンス文書であるISO 26000では、環境問題を4つの課題に整理しています。

1つ目は「汚染の予防(Prevention of pollution)」、つまり公害などの環境汚染を防ぐことです。2つ目は「資源の持続可能な利用(Sustainable resource use)」です。ごみを減らすといった手近な個別対策に加えて、長期的には経済モデルそのものを見直し、資源をできるだけ循環させる経済へ近づけていく必要があります。ただし、現実には完全な循環型経済をすぐに実現することは簡単ではありません。ですから、「完全な循環」を理想として掲げつつ、資源の採取、製造、消費、廃棄、再利用の流れを少しずつ変えていくことが大切です。3つ目は、今回詳しく取り上げる「気候変動の緩和及び適応(Climate change mitigation and adaptation)」です。温室効果ガスを削減する気候変動の緩和はもちろん、すでに起きつつある気候変動の影響に対処し、社会のレジリエンスを高める気候変動への適応にも、社会全体で取り組む必要があります。最後は「環境保護・生物多様性及び自然生息地の回復(Protection of the environment, biodiversity and restoration of natural habitats)」です。生物多様性の急速な減少を食い止め、失われつつある自然環境を回復していくためには、緊張感を持った取り組みが求められます。

この4つの課題の中で、今回は気候変動を中心に取り上げて、様々な角度から考えてみたいと思います。

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【気候変動は最大級のグローバルリスク】
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残念ながら、気候変動は年々深刻化し、人々の危機感も高まっています。通称Davos Meetingとも呼ばれるWorld Economic Forumの年次会合に関連して発表されるGlobal Risks Reportでは、様々なリスクが世界でどのように受け止められているかが毎年示されています。

Global Risks Report 2022では、「今後10年間で最も深刻なグローバルリスクは何か」という問いに対して、最も上位に位置づけられたのは「気候変動対策の失敗(Climate action failure)」でした。その他、環境関連の回答項目がTop 10のうち半分の5つを占めており、気候変動、異常気象、生物多様性、環境破壊、天然資源の危機といった問題が、いずれも長期的に深刻なリスクとして認識されています。

生成された画像:グローバルリスク報告2022

この傾向は、少なくとも長期リスクの認識においては、その後も大きくは変わっていません。もちろん、短期的には感染症、戦争、地政学的対立、経済危機、AIやサイバーセキュリティなどの技術リスクが強く意識される年もあります。しかし、10年単位の長い時間軸で見ると、異常気象、生物多様性の喪失、地球システムの変化、天然資源の危機といった環境関連リスクは、現在も世界の主要なリスクとして位置づけられています。つまり、環境問題、とりわけ気候変動は、一時的な流行語ではなく、私たちの社会と生活の土台を揺さぶる最大級のグローバルリスクとして認識されているのです。