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自閉症スペクトラム障害(ASD)は症状多様性を持ち、DSM-5により統合診断が採用され、発達段階に応じた包括的支援が必要。(障害者・障害児心理学第12回)#放送大学講義録

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自閉症スペクトラム障害は、症状の重さ、併存する障害、知的障害やADHDや不安障害などの有無、発達段階などにより、実に多様な状態を示す障害です。そのため、支援は様々なものを組み合わせた包括的なものになります。さらに、自閉症スペクトラム障害の場合、必要とされる支援は発達段階ごとに大きく変わります。ここでは、医療における診断、各発達段階で見られる状態、症状についての心理学的理解、効果的な介入についてお話ししたいと思います。

自閉症の診断名は、1943年にレオ・カナーが「早期幼児自閉症」(英語では"Early Infantile Autism")、そして11項目を発表したことに始まります。

長い間自閉症と呼ばれてきましたが、DSM-5からDSM-IV-TRの広汎性発達障害(よく知られている言葉ではPDD)の中の自閉性障害、アスペルガー障害、特定不能の広範性発達障害、そして小児期崩壊性障害を1つの疾患とみなすようになり、自閉症スペクトラム障害という診断名が採用されました。英語表記は"Autism Spectrum Disorders"であるため、頭文字を取ってASDとも呼ばれます。

1つの疾患と見なすようになった理由の1つは、4つの疾患とも対応面ではそれほど変わらないということによります。オーティズムスペクトラムディスオーダーズのスペクトラムは連続体という意味で、上記のいくつかの疾患間に特に明確な境界があるわけではなく、むしろ重なっている部分も多いです。このことを表すために、このスペクトラム連続体という用語が使用されています。