F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

自閉症スペクトラム障害の出現率と診断法(障害者・障害児心理学第12回)(放送大学講義録)

今ではクラスに数人いると言われることもある。

 

-----講義録始め-----

 

5. 疫学:国際的には、自閉症スペクトラム障害の出現率は160人に1人の割合と言われています。しかし、これはいくつかの研究の平均的な出現率であり、よくコントロールされた研究では自閉症スペクトラム障害の出現率はさらに高くなります。その代表的な研究が、8歳児を対象にした米国疾病管理予防センター(CDC)の定期的な統計で示されています。2004年の疫学調査では166人に1人でしたが、2014年の調査では88人に1人と倍になり、そして2018年の調査では59人に1人とさらに増えています。特に増えているのは、知的障害のない自閉症スペクトラム障害と診断される人たちです。自閉症スペクトラム障害が増加している理由については、気づきの向上、診断基準の拡大、診断用ツールの質的向上などがWHOにより理由として挙げられているほか、教育、福祉における提供サービスの充実などもその理由なのではないかと考えられています。

  1. 診断、判断のための検査:自閉症スペクトラム障害の診断、疑いの判定、症状の把握のため使用される検査を印刷教材の表1、2の1に示しました。診断に使用されるものとして、まずエイドスがあります。エイドスは、言語と位置伝達、相互的対人関係、遊び、創造力、情動行動と限定的興味、他の異常行動の特徴的な側面の評価、DSMの診断基準に基づく自閉症スペクトラム障害の判定、自閉症スペクトラム障害の症状の程度の判定ができるようになっています。

  2. 年齢ごとの特徴:自閉症スペクトラム障害の様子は、年齢、性長とともに変化します。症状の程度などによる個人差も大きいのですが、発達段階別に比較的よく見られる様子を印刷教材の表1、2の3に示しました。