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グリーフサポートとは何か(グリーフサポートと死生学第1回) #放送大学講義録

-------講義録始め------

 

初回である今回は、テキスト第1章のタイトルにある通り、グリーフサポートとは何かについて解説します。皆さんはこの科目を受講する前からグリーフサポートという言葉をご存知でしたでしょうか。今回初めて知ったという方もおそらくいらっしゃると思います。中にはグリーフサポートではなくグリーフケアなら知っているという方もおられるかもしれません。

グリーフサポートという用語は、英語の「グリーフ」と「サポート」という2つの単語からなり、漢字の日本語に訳せばそれぞれ「悲嘆」と「支援」になります。ならば、なぜ「悲嘆支援」と言わずにグリーフサポートというカタカナ外来語をわざわざ使うのでしょうか。

その理由は、グリーフという語の定義の仕方にあります。テキスト第1章第1節第1項「喪失体験に起因する多様な反応の総体」に記したように、グリーフとは大切な人や物を喪失することで起きる様々な情動的反応であると定義されます。中心的な反応は悲嘆といった心理的反応ですが、それに限定されるわけではありません。例えば、大切な人との死別後に悲しみも怒りも何も感じなくなる無感覚といった心理的反応や、食欲が極端に減ってしまうといった身体的反応、また、がむしゃらに仕事に打ち込むなどのいわゆる過活動状態になるといった社会的反応、さらに、生きる意味が見出せなくなってしまうといったスピリチュアルな反応もグリーフに含まれます。つまり、悲嘆という特定の心理的反応に限定されない多様性があることが、グリーフという用語には含意されています。

このようなわけで、日本では特に研究者、臨床家、実践家を中心に、悲嘆と訳さずにグリーフという英語をそのまま使うことが多くなっています。