ーーーー講義録始めーーーー
法は社会規範の一種ですが、すべてではありません。社会規範には、法の他に道徳、慣習、宗教などがあり、これらは法と密接に関係しながら社会秩序の維持に貢献しています。
ここからは、法と他の社会規範との違いおよび関係を確認します。
法と道徳の関係
道徳とは、社会生活を営む上で個人が守るべき行為の準則です。善悪という観点に基づき、正しい行動を促す規範です。例えば、体の不自由な方に席を譲ることや他人のものを盗まないことがその例です。
道徳(モラル)は、中国古典に由来する概念で、「道」と「徳」から成ります。「道」は人が従うべきルール、「徳」はそのルールを守る状態を意味します。
道徳規範は行為規範の一部ですが、法と道徳の違いについてはさまざまな学説が存在します。
代表的な学説
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対象説
- 法:人の外面的行為を対象
- 道徳:人の内面的行為を対象
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関係説
- 法:権利と義務の対立的関係を規律
- 道徳:義務のみを一方的に規律
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強制説
- 法:国家権力による強制
- 道徳:良心の呵責や社会的非難による強要
法と道徳の見解
法と道徳の関係に関する見解は、以下の3つに大別されます:
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法と道徳は根本的に同一
- 例:刑法第235条(窃盗罪)や民法第709条(損害賠償責任)は、道徳規範を基礎にしています。
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法と道徳は全く異なる
- 例:道路交通法第10条第1項(歩行者の通行位置)は、倫理とは無関係な技術的法則です。
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法は道徳の一部
- 法:最低限の道徳基準を設定。
- 道徳:法より高い基準を設定し、より良い行為を期待。
法と道徳の相互関係
法と道徳には相違がありますが、両者は社会秩序を維持するために相互補完的な関係にあります。道徳規範が法規範化されることもあれば、逆に法規範が道徳規範化される場合もあります。
