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法の目的と理念:正義と安定性 (一般市民のための法学入門第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

最後に、法の目的、法の理念および法の機能について解説します。
法の概念を理解するには、法が何を目指し、どのような理念のもとで、どのような機能を果たしているのかを理解することが重要です。

法の目的

法は、社会生活の中で生まれ、歴史とともに変遷していく規範であり、各法にはそれぞれの目的があります。
法の目的とは、法によって達成されるべき目標のことです。この目的を理解せずに法を正しく解釈することは困難です。
したがって、個々の法律を解釈する際には、その法の目的を十分に理解し、妥当性のある結論を導く必要があります。
(詳しくは第9回の講義で解説します。)

法の理念

今日では、正義法的安定性が法の理念として広く認識されています。
正義とは、人間の行為が正しいか否かを判断するための基準です。古来より多くの見解が示されてきましたが、その本質は変わりません。
一方、法的安定性とは、法に従って安心して生活できる状態を指します。社会生活を円滑に送るためには、法的安定性が必要不可欠です。

法的安定性の要件

法的安定性を確保するためには、次の要件を満たさなければなりません:

  1. 法の規定が明確であること
    規定が不明確であれば、人々はどの行動が適法であるのかを判断できず、安心して活動できません。
    また、法律の条文の解釈が曖昧である場合、法的安定性が損なわれます。法規範の内容は明確な文章で示されるべきです。

  2. 法がむやみに改廃されないこと
    法は社会情勢の変化に対応する必要がありますが、立法者の思いつきや軽率な判断で頻繁に改廃されると、社会の混乱を招きます。
    特に、既存の権利義務関係を大きく変えることは、社会秩序を著しく損なう可能性があります。

  3. 法が現実的に執行されやすいこと
    個人の人格、財産、権利などが不当に侵害された場合、法に基づいて迅速に救済される必要があります。

  4. 法が人々の意識に合致していること
    法が社会生活を送る人々の意識とかけ離れている場合、法の遵守が難しくなり、社会を規律する機能を果たせなくなります。