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男女雇用機会均等法をわかりやすく:差別禁止の範囲と間接差別3類型 #放送大学講義録(人的資源管理第11回その4)

ーーーー講義録始めーーーー

 

その4 法的枠組みの整備①:男女雇用機会均等法と間接差別の禁止
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◆ 男女雇用機会均等法の成立

授業の冒頭で触れましたが、男女雇用機会均等法が女性労働に与えた影響には大きなものがありました。この法律は1985年に制定され、1986年に施行されました。

禁止対象となる差別の領域は以下の通りです。募集・採用・配置(業務の配分及び権限の付与を含む)・昇進・降格・教育訓練・一定範囲の福利厚生(厚生労働省令で定めるもの)・職種、雇用形態の変更・退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新について、性別を理由とする差別を禁止しています。

男女雇用機会均等法は、その名称の通り、機会の均等に重きを置いており、企業の中で直ちに結果の均等まで自動的にもたらす仕組みというよりは、雇用管理の各段階で性別を理由とする差別をなくし、均等な機会と待遇の確保を進めることを中核としています。 その後、改正が繰り返される中、男女差別の撤廃が努力義務から禁止事項となり、間接差別の禁止に関する改正があり、女性雇用者の社会における状況が変化してきたと言われています。

◆ ポジティブ・アクションと表彰制度

改正雇用機会均等法では、企業が男女間の格差を解消するための積極的な取り組み、すなわちポジティブ・アクション(Positive Action)に対して、国が相談や援助を行うことができると定めました。

また、男女の均等や両立支援に関する企業の取組を社会に周知し、後押しするため、厚生労働省は企業表彰制度を実施してきました。例えば、1999年に始まった「均等推進企業表彰」などがその一つであり、こうした表彰制度は、模範的な取組に社会的評価を与えることで、経営組織における女性の地位向上を図ろうとする意図があります。

◆ 間接差別とは

間接差別について補足します。均等法では、省令で定める次の要件について、合理性がない場合には間接差別として禁止されます。

 1. 労働者の募集または採用にあたって、労働者の身長・体重または体力を要件とするもの
 2. 労働者の募集・採用、昇進または職種の変更にあたって、転勤を伴う異動に応じることができることを要件とするもの
 3. 労働者の昇進にあたって、転勤の経験があることを要件とするもの

合理的な理由がないにもかかわらずこれらを行うことが禁止されました。合理的な理由があれば、身長・体重・体力を採用の条件にしても良いのです。しかし、合理的な理由がないのに「身長170cm以上、体重60kg以上の人を募集する」などと言えば、多くの女性は排除されます。これを間接差別と捉えるのです。

 【注】間接差別(indirect discrimination)とは、表面上は中立な基準・措置が、特定のグループ
    (ここでは女性)を不利に扱う結果をもたらすものを指します。

 

図表1:均等法が対象とする“雇用管理の各ステージ”(概要)
(講義本文の列挙を、法令解説の整理に合わせて可視化)

 

ステージ 例(講義で触れている範囲) 根拠の整理
募集・採用 募集要件、採用基準 第5条の趣旨として整理
配置・昇進等 配置(権限付与含む)、昇進、降格、教育訓練 第6条の整理
福利厚生(一定範囲) 住宅資金の貸付け等(省令で定める範囲) 「省令で定めるもの」
職種・雇用形態の変更 コース、職種転換など 第6条の整理
退職・雇止め等 退職勧奨、定年、解雇、契約更新 第6条の整理

 

図表2:間接差別(省令で定める代表類型)

 

類型 代表例  
身長・体重・体力要件 募集・採用で身体要件を課す  
転勤要件(応諾可能性) 募集採用・昇進・職種変更で転勤応諾を要件化  
転勤経験要件 昇進で転勤経験を要件化