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労働契約法の5つの基本原則:労使対等、均衡考慮、仕事生活調和、信義誠実、権利禁止を濫用禁止を解説。(雇用社会と法第4回)#放送大学講義録

一部記述がダブっていて、読みづらくなり申し訳ありません。修正しました。

 

-----講義録始め-----

 

そして、労働契約法は、労働契約の基本原則について定めています。労働契約法第3条には、5つの基本原則が定められています。

第1は、労使対等の原則です。労働契約法第3条第1項には、「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、または変更されるべきものとする。」と定めています。これは、実質的対等性を確保するために、労働契約法を解釈し、適用していくことが重要であるということを確認した規定です。

第2は、均衡考慮の原則です。これを定めたのが、労働契約法第3条第2項です。すなわち、「労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、または変更されるべきものとする。」と定めています。これは、具体的な社会的格差を是正するという理念が表明されている規定です。

第3は、仕事と生活の調和の原則です。これを定めたのが第3条第3項です。職業生活と家庭生活の調和、これはワークライフバランスと呼ばれ、我が国にとって重要な観点です。この労働契約法の規定は、人事権の行使などの場面で解釈指針として意味を持ってきます。

第4は、信義誠実の原則です。信義誠実の原則は、民法第1条第2項に規定されています。労働法の分野では、裁判所の判決において、この原則が労働契約を解釈する上で重要な機能を担ってきました。労働契約法では、信義誠実の原則を基本理念の1つとして、民法の原則を改めて確認しています。

第5は、権利の濫用禁止の規定です。我が国の労働法ルールは、この原則によって裁判所が判決を確定してきました。

また、労働契約法第4条は、労働契約の内容の理解促進について規定しています。第4条第1項は、「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。」と規定しています。第4条第2項では、「労働者及び使用者は、労働契約の内容(労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。」としています。これにより、内容の理解を促進し、書面での契約内容の確認を通じて合意の原則を担保しようとしています。