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高齢者の自殺率と予防策(発達心理学特論第14回)#放送大学講義録

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高齢者の自殺について、日本は先進国と比較して自殺率が高いと言われます。厚生労働省と警察庁の平成30年度の報告によると、自殺死亡率は10代以外はここ10年減少傾向にあります。その中で、自殺者数は10代と70代、80代が前年の平成29年より増加しています。また、他の年代が人数を減少させている一方で、80代の自殺者数はここ10年、2200人から2600人の間を推移しています。

自殺の原因や動機は様々な要因が複合して生じるとされています。その中で、年齢別の自殺の原因、動機について50歳以上を見ると、家庭問題では夫婦関係の悪化、家族の死、介護や看護疲れが挙げられています。健康問題では、病気の悩みのうち身体的病気と鬱、その他の疾患が挙げられ、経済生活問題では生活苦と負債、勤務問題では仕事疲れ、その他の動機では孤独感が挙げられていました。

また、自殺の予防について、近年頻繁に生じる自然災害によって死亡者が生じることが、生き残った人に命を大事にしようという風潮につながっているかもしれないという指摘があります。一方の自殺促進因子は、先ほど述べた生活苦に関わる不況、病気の悩みなどが指摘されています。孤独と孤立への介入は自殺予防に効果があります。それに加えて、経済的なセーフティーネットの整備などが有効であろうとの指摘があります。

なお、自然災害と自殺に関連して、災害地域の高齢者では、身体問題、喪失体験、二次的生活変化から自殺リスクが高まるとの指摘もあり、災害時での介入の有効性が指摘されています。