"ーーーー講義録始めーーーー
知的活力を保つために
もちろん、知能としては一定でも、知的活力、いわゆる知的エネルギーというものは、加齢に伴う生物学的な変化により体力が衰えるのと同様、普通は低下していくものなんでしょうけれど、知的活力を維持する人とそうでない人がいるというのも事実です。
加齢にあっても高い知的活力を維持するためには、私たちはどうしたら良いのでしょう
か。研究結果では、高い知的活力を維持するためには刺激的な体験に対して前向きに取り組むことが重要ということです。
例えば、刺激的体験とは:
- 意欲的な計画を立てること
- 複雑な思考を必要とする仕事を行うこと
- 知らない未知の国へ旅行すること
- 心を満足させてくれる趣味を持っていること
などが挙げられています。
このことを考えると、高い知的活力を維持するのに学習活動を行うことは大変意義があるということですね。個人が行うことができる対応、発達を伴ういわゆる**最適な加齢(Optimal Aging)**と呼ばれる一つの試みとも考えられます。
個人差の拡大
岩崎:「別府さん、様々な高齢者の方々とこれまで接してこられているかと思いますが、このように年齢を重ねると知的活力の維持や加齢への適応において個人差が大きくなっていくと言われていますけれども、どうでしょうか。」
別府:「はい、そうですね。高齢期は個人差が一番大きい時だと思いますね。その個人差っていうのが歳とともに広がってきて、なんと80歳頃になるとその差が20歳以上になるというのですから、本当に驚きですよね。確かに同じ年齢でもマラソンをしている人もいれば寝たきりの人もいますものね。」
