初めから抽象的な議論だなあと学生時代を懐かしんでいる。今更だが教育方法を工夫すべきでは?
円谷峻。鹿野菜穂子。市民生活と民法。前もって印刷教材を読んでおいてほしい。指摘された条文についても読んでおいてほしい。成果として条文を正しく理解できれば講義内容も含めて受講の意義はより大きく。六法全書を用意してほしい。小さいもので良いが古いものでないこと。
民法典の経緯と法源、基本原理と修正。債権法改正案の提言に法制審議会幹事として活躍。
民法とは何か。日常生活に重要。生じている紛争解決の基準として、行動基準として重要。成立経緯も問題。ボアソナード論争と中身を。明治26年の起草作業の結果、現行民法典が公布された。法典論争の結果、旧民法典があったことを。近代法の父。
民法の法源。法律の存在する形。法的紛争を裁判所で解決する場合には拠り所が必要。成分法の場合が一般的には考えられるが、それ以外にも慣習法が。さらには判例法や条理が。法の形式は様々。裁判官が拠り所にすることが出来る法の形式。個別的な法源。成文法。民法典以外には特別法として様々。補充するものと基本原則を修正するもの。不動産登記法。登記制度を、制定法はいつから法源として有効か。両議院で可決された時に法律に。成立したときは公布がされる。公布は閣議決定を経て官報に掲載されることで。一般に周知させる状態に置くこと。効力が一般的に作用することを施行と呼ぶ。通常はその法律の附則で定められる。公布と施行は同じ時期でないこともある。可決された法律を周知決定させる必要がある。慣習法。法の適用に関する通則法3条が効力を定める。国際取引や国際結婚などの紛争で準拠法を定める。法令に規定されていない事項などに限り効力を有すると。慣習には法令の規定に認められたもの、法令に規定されていないもの。慣習法上の物権。宇奈月温泉事件。慣習法上の物権は認められず。実際にはあったようだが大審院は否定。理由として1つの土地には1つの所有権のみが認められる近代法では慣習は認められない。中世ヨーロッパでは下層所有権などが重畳して認められていた。農民と領主。年貢を納める必要があると。近代では所有権概念が。上土権も認められない。民法92条。当事者がその慣習による意思を有していた場合は慣習に従うと。慣習法と事実たる慣習。後者は解釈の基準。裁判官は法源として拠り所に。事実たる慣習を用いるには主張する者が主張立証する必要がある。事実たる慣習と慣習法において効力に差がある。判例法。法源。裁判所法4条。上級審の拘束力。下級審の裁判所を拘束。同一事件について。一般に先例に拘束されるとはしてない。英米法では先例拘束性が認められる。同種の事件について既に存在しているときは拘束されると。厳格に維持されると判例変更はないことに。成文法によるというのが伝統的考え方だが厳格に過ぎる。先例拘束性の原則が否定されたわけではない。実質的には最高裁の判例は下級審において尊重されている。最高裁の判決が積み重ねられると判例法が形成される。利息制限法と元本充足。昭和39年の最高裁大法廷判決。制定法に対し判例法の形成。反した判例法は許されるか。昭和39年の判決。裁判官で論争が。興味深い内容なので引用している。制限超過部分が元本に充当されるとするのは許容限度の内にあるか。条理。物事の道理。信義誠実の原則などとほぼ同じ。しかし権利濫用の禁止などは時代の判断に委ねられる。一般条項。条文に定めは無いことで一般条項と異なる。条文として存在しないことに特色が。法的紛争のために補充的に用いられる。一般条項の活用で条理が用いられる場合は多くない。国際私法の領域などでは欠けているので条理が法源として用いられる場合が多い。条理とは制定法慣習法判例法が欠けている場合に補充的に。裁判を前提にした説明。現在では重要視されている。ADR機関による斡旋や裁定などが普及しつつある。紛争の早期解決を。様々な領域で。ADRによる紛争では条理の果たす役割は重要。常識的妥当な判断を示すのに重要。消滅時効の問題。
民法典の構成。総則篇。フランス民法典には総則編は設けられていない。スイス民法典でも。初心者には難しい。民法典の最初なので学ぼうとすると取り掛かる対象に。判例には家族関係の問題について総則編が適用されるべきかの興味深い判決。夫婦の一方が勝手に売却した時に民法110条が適用されるのか、家族法の連帯責任の条項が適用されるのか。表見代理。最高裁は夫婦の一方が代理権の範囲を超えて行為した場合には一般的に110条の表見代理を適用すべきではないと。家事の範囲と信じるに付き正当な理由がある場合に限る。直ちに110条を用いるのに慎重。民法典の基本原理。特に財産法。1804年のフランス民法典。市民階層による自由な経済活動を支える。私的自治の原則。契約自由の原則などが諸原則として。近代市民法として同様の原則を柱に。契約自由の原則。契約を締結する者が合理的に判断して。私的自治の原則が前提。今日では厳格に維持するなら社会的弱者の保護に欠ける。特別法などで修正が加えられている。所有権絶対の原則や過失責任の原則も修正されている。信義誠実の原則。昭和22年の改正で設けられたが戦前にも認められていた。宇奈月温泉事件。当時の大審院が権利濫用禁止の法理を初めて認めた判決。忘れてはならない判決。家族法の基本原則。戦後の改正で。個人の尊厳と両性の本質的平等を。
債権法改正について。改正理由。現代的な対応や国際化への対応など。改正法の内容は現行法と異なる。改正の動機や注目点。包括根保証禁止。貸金等債務の個人保証を厳格に。保証人への情報提供。債権譲渡。将来債権譲渡の規定を。約款についての規定を定める。ルールを最低限設ける。債権者代理権や詐害行為。変動利率に。各契約類型のルールも変更。