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相続と法(民法第15回)

中小企業の事業承継はかなり深刻な問題。財産が潤沢だから良いというわけではなく、従業員の生活もかかっている。

 

円谷峻。本山敦。相続と法。13年度の再放送。相続について。家族法が専門の本山敦教授に補充説明を。
相続の開始原因。死亡。882条。法定相続人。血族相続人と配偶者相続人。血族相続人とは、子や孫、直系卑属、または親や祖父母、直系尊属。兄弟姉妹など。胎児も886条1項で相続と損害賠償については既に産まれたものとみなされる。法定相続人についてはその相続順位が定められている。第1相続順位は子。相続前に死亡していた場合はその子の子が相続人に。Bが相続する分を代わって。代襲相続。直系尊属。親等の異なる場合は近いほうが優先。第3順位は兄弟姉妹。その子には代襲相続権が。笑う相続人を認める必要はない?昭和55年に兄弟姉妹が死亡した場合に代襲相続を求めるが再代襲相続は認めないことに。配偶者相続人。配偶者は常に相続人に。血族相続人がいる場合は同順位の。事実婚における配偶者の地位が問題。婚姻関係があれば認めるのが適切かもしれないが、相続権が無いにしても財産分与の規定を類推適用して保護を図るべきだとの見解があるが判例は否定している。類推適用は出来ないと。但し相続人が居ない場合には事実婚の配偶者は特別縁故者の規定を適用する見解も。法政策の問題。借地借家法36条。相続人なしに死亡した場合に、同居者は権利を承継する。事実婚の関係にある者は借家権を承継する。法定相続人。900条。1項は相続分や配偶者の相続分は各々2分の1。配偶者の相続分を増やしても良い?900条2項。直系尊属は3分の1。同条3項。兄弟姉妹は4分の1。4号。数人の時は相等しい。父母の一方のみが同じ場合には2分の1。4号但し書きは嫡出でない子の相続分は2分の1とする部分が平成25年の最高裁大法廷の違憲判決で削除。民法では嫡出である子。婚姻関係が元にない子を嫡出でない子とする。非嫡出子。様々な違いを設けるのは歴史的経緯が。ヨーロッパでは教会で婚姻が。家族の基本形とされ、婚姻でない子どもを弾圧。日本では寛容だった。明治の遺産相続で相続分の議論が。日本は諸外国に比べ非嫡出子を優遇しているという議論が。その結果、明治民法では非嫡出子の相続分を嫡出子と比べて半分にする。戦後の改正でも維持される。法の下の平等を憲法14条で。憲法違反では?学説では違憲説が有力。平成に入り裁判例が。平成7年の大法廷は憲法違反ではないと。平成8年には法律案要項が。平等化が提案されたがそれ自体が実現しなかった。国際機関からも働きかけが。裁判も起こし続ける。平成25年9月4日大法廷では違憲判断が。平成25年に民法が改正。大変長い文章だが、我が国における家族形態の多様化と国民の意識の変化。現在進行形で変化。未婚化晩婚化少子化高齢化。相続分差別は解消されたが非嫡出子の問題は解決していない。嫡出子と異なる扱いが。差別とするかどうかが問題に。ヨーロッパでは殆ど解消されている。子どもの責任ではない事柄に差別するべきではないのでは、という考え方。
特別受益と寄与分。特別受益。結婚に持参金を。被相続人から特別の受益を受けた場合。903条1項。贈与の価格を加えたものを相続財産を。遺贈などの金額を差し引いて。被相続人が有した財産が3000万円。子どもBCDの内、Dに600万円贈与。相続財産は3600万円。Dは残額600万円。BCについては1200万円。寄与分。反対に相続人の中に被相続人の財産に寄与した分を考慮。904条。被相続人が有した財産の価額から共同相続人の協議で定めた寄与分を。寄与分を加えた額をもって。
相続欠格制度。民法典に。相続人の欠格事由。891条の各号で相続人になれない。1号。故意に被相続人などを死亡するに至らせるなどして刑に処せられた。遺言書を偽造するなど。ドラマを見ているよう。ある特定の人間の関係からなので相対的なもの。子が父親を殺害しようとした場合でも子の子の代襲相続は認められる。相続人廃除制度。推定相続人が被相続人を虐待しこれに重大な侮辱を与えたりするなどしたときに推定相続人の排除を家庭裁判所に請求できる。892条。被相続人は何時でも推定相続人の排除の取消を家裁に請求できる。相続の承継。単純承認と限定承認。承継は2種類。自らの相続したことを知ったときから3ヶ月以内に放棄などを。熟慮期間。単純承認をした時には無限に権利義務を承継。920条。相続人が921条所定の行為をした時は単純承認とみなされる。限定承認。財産の限度において債務などを留保して。相続とはマイナスの財産をも承継。そのために相続人にとりプラスなのかマイナスなのか判断できない場合に。被相続人の借金が3億円有り財産が1億の場合、1億に限り。相続人が数人ある場合は全員が共同してのみ。923条。共同相続人の1人が単純承認をすれば他の相続人は限定承認が出来ない。手続が煩雑なのであまり用いられない。相続の放棄をしようとする者は家庭裁判所に述べなければ。938条。始めから相続にならなかったものとみなされる。身分行為は424条の詐害行為取消権の対象とならない。遺言に因る相続。「いごん」。自筆証書遺言、公正証書遺言など。自筆証書遺言。自書する方式で。厳密な方式が踏まれていないと無効になる恐れが。年月日を書くときなど。公正証書遺言。遺言者が遺言内容を公証人に伝えて作成。方式の不備は考えづらい。自書が出来ないときなどに出向いてもらい証人2名の立ち会いの元に口授することで遺言書の作成が可能。秘密証書遺言。内容を秘密にできるがあまり用いられない。かつては多くはなかった。遺言にある相続件数は増加傾向。老後の面倒を見てくれる相続人に相続させたいと。今日の遺言の状況。遺言の作成が増え続けている。自筆証書遺言の検認。遺言を家庭裁判所に。平成22年には1万4千件以上に。公正証書遺言は年間8万件以上。原因。遺言を使って財産のすべてまたは多くを。平等に扱うのではなく良くしてくれた子どもに沢山。対価相続意識。災害に対するなどの公益に使いたいと。相続紛争の増加や激化。争続。共同相続人が数年に渡り骨肉の争いをすることが多い。予防的に。遺言を作成するのは遺言能力が必要。制度を理解して内容が理解できる。認知症などで判断能力のない高齢者が。遺言無効確認訴訟。遺言が複数存在。新しい遺言が優先される。実は新しい遺言かどうかは簡単には分からない。5年前に長男に遺言を。直前に遺言をしても見つけてもらえないかもしれない。誰にも分からない。遺言があるがために紛争に。遺言を巡る紛争も増える。
遺留分制度。相続人の生活保障の観点から。1028条以下。法定相続人は遺留分の割合に応じて。遺留分減殺請求権。意思表示がされれば法律上当然に減殺の効力が生じる。形成権。遺留分を有する相続人。遺留分権利者の最低限の権利。中小企業の経営者の社長は跡継ぎの長男にすべてを。長女には遺留分があるので4分の1が。民法の遺留分制度は一定範囲の相続人に強い権利を。仲が良かったかなどの事情に関係がなく。事業承継を困難にすると批判がある遺留分廃止の議論も昔からある。会社の処分をしたり株式を引き渡したりしなければならないので会社経営が不安定に。生活保障の観点はあるが、本来は社会保障の問題。根拠は現代社会の中で失われつつある。
民法典の改正が。債権法の改正には言及せず。

 

民法 (放送大学教材)

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  • 作者:円谷 峻,武川 幸嗣
  • 出版社/メーカー: 放送大学教育振興会
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

民法VI 親族・相続(第5版) LEGAL QUEST

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