ーーーー講義録始めーーーー
調査から得られたデータに基づく一連の分析において、社会統計学として重要なポイントは大きく3つに分けられます。
第1のポイント:変数の値の分布
最初のポイントは、変数の値がどのように分布しているかという点です。
例えば、回答者の年齢が20代から80代までの範囲であるとか、意見への賛否について「賛成」「反対」「中立」という選択肢ごとの回答分布などが挙げられます。このような分布の状態を表現するために、いくつかの統計量が利用されます。
統計量とは、調査から得られたデータに基づいて計算される数値を指します。先に例示した賛成や反対などの比率も統計量の1つです。また、年齢のように数値化されたデータの場合、平均値のような分布の中心を表す統計量もあります。
第2のポイント:母集団の推測
次のポイントは、データの統計量に基づいて、母集団(全体集団)の状態を推測することです。多くの社会調査では、調査対象者は社会全体から一部を抽出したものです。このように抽出された対象は標本またはサンプルと呼ばれます。
印刷教材の図表1-4をご覧ください。図では、右側の標本が左側の母集団から抽出されている様子が示されています。実際に調査を行ったりデータを分析するのは標本の方ですが、その分析結果を基に、母集団における値を推測します。
例えば、先の賛否の比率の例では、500人の回答者からなる標本における賛成率が45%であることがわかりました。母集団全体に対して調査を行っていない場合、この標本の分析結果を基に、母集団全体における賛成率を推測することになります。
第3のポイント:変数間の関連とその大きさ
最後のポイントは、複数の変数の間にどのような関連があるか、またその関連の大きさがどの程度であるかという点です。
具体例として、「性別」と「賛否」の関連や、「年齢」と「賛否」の関連、「職業」と「賛否」の関連について、それぞれの関連性の大きさを数値で表すことができます。さらに、これらの関連性の大きさを比較することで、「賛否」という変数と関連が大きいのは「性別」なのか「年齢」なのか、「職業」なのかを明らかにすることができます。
まとめ
以上の3つのポイントは、それぞれ特定の観点に基づいて端的な指標や推測の結果を提示することを目的としています。これらを活用することで、データの分布や関連性を的確に把握し、社会の動向や傾向を明らかにすることが可能となります。