ーーーー講義録始めーーーー
さて、この講義全体の構成について説明しておきます。印刷教材の図表1-5に各回の概要が一覧で示されていますので、ご覧ください。次回以降の講義内容は、先に論じた3つのポイントとも連動しています。
第1のポイント:変数の値の分布
第2回と第3回では、変数の値の分布について学びます。ここでは、分布の状態を把握するための技法や統計量について解説します。
まず、変数の分布を確認するための基本的な手法として、度数分布表を紹介します。また、度数分布表をもとにしたグラフの作成方法や、データを視覚的に表現する技術についても説明します。
さらに、分布を1つの数値で表す代表的な統計量について学びます。例えば、
- 平均値(分布の中心を示す代表値)
- 値のばらつきを示す分散や標準偏差(これらは散布度と呼ばれる)
これらの統計量について詳しく解説します。
第2のポイント:母集団の推測
第4回から第6回では、母集団の推測の原理について学びます。この部分では、調査データをもとに、調査対象者の範囲を超えた母集団全体の状態を解釈するための推測統計の考え方と応用を扱います。
多くの社会調査では、母集団と呼ばれる全体から一部を抽出した標本を調査対象とします。ただし、標本データは母集団の一部であるため、そこから得られる統計量には誤差が含まれることになります。さらに、標本を抽出するたびに異なる統計量が得られる可能性があるため、その統計量自体が分布を形成します。この分布を標本分布と呼び、これを第4回で扱います。
推測統計では、誤差が生じる確率を考慮したうえで、以下を行います:
- 推定:母集団における値を特定する手法(第5回で講義)。
- 検定:母集団に関する仮説がデータに適合するかどうかを判定する手法(第6回で講義)。
さらに、第7回以降では、分析手法に対応したさまざまな検定方法を学びます。
第3のポイント:検定手法の詳細
印刷教材の図表1-5に記載されているように、以下の検定方法を扱います:
- z検定
- t検定
- F検定
- カイ二乗検定
これらは統計学でよく使用される検定手法であり、第6回までにその基本的な考え方をしっかりと習得していただきます。
このように、講義は段階的に進行し、基礎的な内容から応用的な内容までを包括的に学ぶ構成となっています。講義内容を通じて、統計学の原理と実践を深く理解することを目指していきます。