-------講義録始め-------
次に、推測統計の側面を考慮し、結果を一般化するための統計の使用方法について見ていきます。例えば、性別とメンタルヘルスの関係性を考慮する場合、今回の調査データから男性と女性の間でメンタルヘルスの違いが見られたとしたら、この違いが偶然によるものなのか、それとも必然的な結果なのかを確認する必要があります。言い換えれば、結果の一貫性を示すこの作業を統計学的推測と言います。
統計学的推測には、検定と推定の2つの方法があります。詳細には触れませんが、統計学的検定とは、今回のデータに基づいて、母集団での差やその値が0であるという仮説(帰無仮説と呼ばれる)を否定する方法です。具体的には、検定統計量を用いて確率を計算します。しかし、最近ではこの計算はコンピュータが担っています。詳細は統計学の教材や参考書を参照してください。
重要なのは、母集団という考え方です。例えば、難病患者100人を調査対象とした場合、その100人のデータに基づく結果が、すべての難病患者に適用されるのかどうかが問題となります。検定の結果が有意であれば、今回の100人のデータだけでなく、母集団全体にも適用されると言えます。研究の計画段階で、どの母集団を考慮するかを研究者が決定する必要があります。しかし、研究初心者はしばしばこの部分を後回しにすることが多いです。