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難病患者の心境🔍統計研究の新視点(ヘルスリサーチの方法論第10回その2) #放送大学講義録

要因がキーになるのだろうか。

 

--------講義録始め--------

 


統計において明らかにすることは、要因と要因の関係を明示することです。この考え方の基本は関連性です。多くの保健医療福祉系の研究では、この関係性の明示が主な目的であり、要因a、要因b、要因cなどのように複数の要因が登場することがあります。それらの要因の間の関係性、例えばaとb、bとc、またはaとcの関係を明らかにすることが目指されます。

例として、難病患者のメンタルヘルスの実態を調査し、その結果を実践に活用するというテーマを考えることができます。ただし、"メンタルヘルスの実態"は抽象的であり、具体的に何を知りたいのかを明確にする必要があります。例えば、難病患者の性別とメンタルヘルスの関係や、難病患者の性別と年齢との関係を考慮することも考えられます。性別や年齢は変数として考えられます。

研究の目的を明確にすることは、統計解析を行う第一歩となります。通常、研究計画の段階で目的が整理されるはずですが、研究を初めて行う場合や結果が期待通りに出ない場合、データとの対話を通じて目的を再整理することが必要になることもあります。そして、このような目的の整理は、単にデータを分析するだけでなく、先行研究や理論も参考にしながら行われます。

研究目的を整理する際に、図を使用することが一般的です。例として、難病患者の属性、慢性的ストレス要因、ソーシャルサポート、メンタルヘルスとの関係性を示す目的を考えることができます。これらの要因は、概念や構成概念として扱われます。これらの概念は指標によって測定されます。そして、これらの概念と指標の関係性を明確に示す図が概念枠組みと呼ばれます。

この概念枠組みの例として、図10の1が存在します。この図では、概念の名前と、それに関連する具体的な指標が示されています。また、これらの指標は、調査で測定された変数や新しく作成された変数として示されています。この図には、原因と結果の関係を示す矢印も表示されており、この関係性を分析・検証するには高度な統計手法や研究デザインの工夫が必要となります。

しかしながら、厳密な分析が難しい研究デザインや基本的な統計手法であっても、目的の関係性が図で示されていると、分析は容易になります。この概念図を基に、分析を進めることが推奨されます。