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食べものをつくりだす技と場(総合人類学としてのヒト学第6回)

在来農耕の知識は日本史や世界史を学ぶのに重要。農業がメインにならない社会は珍しいのだから。

 

梅崎昌裕。食べ物を作り出す技と場。たべものを作るには技と知識体系、空間。畑や水田や放牧場所。米のためには水田を作るなどのプロセスが必要。すべての段階で知識と技が必要。人間に因る管理が原則。自然の植物を。農耕に共通。植物の成長そのものには自然生態系が大きな役割。水分は空から。養分のかなりの部分が生態系の循環の中で。どれくらい利用するかの度合いは様々。現代農業。ビニールハウス内の。あまり当てにしていない。焼畑農耕などの在来農耕は強く依存。自然生態系利用には広範な自然の知識が必要。在来農耕。現代農業が成立するより前に広く営まれていたもの。LEDの光を使う現代農業。焼畑農耕は典型的な在来農耕。現代農耕に比較しての特徴を。地名が出てくるが、地図で参照するように。
在来農耕の例として焼畑農耕について。文字通り植物を焼いて畑を作る。自然林だったり。地域によっては。畑というのは栽培する場所。作物以外は邪魔。樹木などを伐採して火をつけるのは効率的。焼畑農耕が身の回りにある畑と違うのは?植える作物を変えながら数十年にわたるのに対し、焼畑農耕は数年で放棄される。持続的に農作を続けるには栄養素を土壌に。取り去られた分だけ痩せないように。栽培途中に化学肥料や堆肥などを。対象的に焼畑農耕はそれをしない。数年間の耕作で痩せると放棄して他のところに移動。いわゆる二次植生が。森に戻る。休耕期間に回復。パプアニューギニアの焼畑農耕。伐採を済ませて植え付ける。地域の焼き畑は雨季の前に二次林を伐採。本格的な雨季をする前に植え付けをすると育たないのでタイミングが大事。二次林ではかなりの高さに。樹木を倒す前に葉っぱを取る。幹に捕まりながら枝を払う。個人の高い身体能力が必要。樹木は乾かして薪材にするなども。枝葉は乾燥させて燃やす。タイミングに合わせて様々な作物が。イモ類や豆類やバナナなど。1年目では相対的に栄養要求の高い作物。4年目には放棄される。実際には様々なバリエーションが。佐々木高明。2つのタイプに。根菜型焼畑農耕。東南アジアの熱帯雨林を起源として。雑穀型。種子作物が。油脂作物も一緒に。アフリカからインドのサバンナ地域が起源。焼畑には様々。根菜型と雑穀型が混合しているものも。降水量の多い地域で火をつけない。まずバナナを植えて伐採する。下敷きにならなかったものは身をつける。日本でも山間部で一般的だった。在来農耕としての焼畑農耕には大きな特徴が。一緒に採集などの正業が存在する。伐採されるのは自然生態系の撹乱と呼ばれる。生態系の構造の変化。大きすぎるとバイオマスが減少し環境破壊に。適度な撹乱は生物多様性の維持に効果。熱帯降雨林の模式図。太陽エネルギーを奪い合う。隙間なく閉じている。このような森には地上にはほとんど太陽光線が届かず。地表部に限ればバイオマスが乏しい。樹木が伐採されると?地表まで届き様々な植物が。餌とする小動物が生息。焼畑として使った二次林の後に豚を育てている。雌か去勢された雄。気性が荒いものは避ける。昼間は放し飼いに。餌を森で探す。二次林に多い。イモ類を見つける。焼畑跡地の二次林には野生の豚と。雌豚が子豚を。帰ってこないので子豚を探す。地域生態系の中に豚を。ニッチな。二次林は小動物や過食植物の。狩猟の対象となる動物は二次林に多い。様々なきのこも見つかる。焼畑農耕の別の事例。中国大陸の海南島。リー族。かつては焼畑農耕を。焼畑にはトウモロコシなどが。00年頃に調査プロジェクトが。村落に住み込み。西谷克。食べることのできる野草。ナス属。雑草なのだが繁茂させて移植させる。イヌホウズキは食べても美味しい。ご飯のおかずに。アカネズミを対象にした狩猟も。野山に住む鼠は地域により食糧とされる。小川沿いに穴を。夜間に出てくるので罠をしかける。1人1年に300匹くらい。乾燥肉は人気。野生動植物の採集や狩猟の場に。焼畑は環境破壊との意見が。地球温暖化の元凶?耕作地と二次林の比率は一定。様々な動物の。生物多様性とバイオマスを。人口が急増する状態では休耕期間の短縮や野生林の伐採に。移住者に因る大規模な焼畑は区別する必要がある。
水田耕作。栽培されるのは稲。世界的にほとんど。水を出し入れ。雨水を貯めて。雨季にしか出来ない。灌漑水田。水の出し入れ。川に水がある限り可能。大事な作業で田植えから収穫まで。生物相の撹乱を。稲にはジャポニカ。日本列島を含む。長江の7000年前。インディカ。東南アジアから南アジア。在来農耕としての。灌漑された水田での耕作。除草剤の使い方の程度にもよる。様々な耕作の形態が。灌漑用水路があったとしても競合。水田に水を入れるには組み上げるか堰き止めダムを。用水路の水が流れるには水面の問題が。共有財産であり共同作業として。すべての水田に水が行き渡る為のルールや管理者が。取水堰。争いが起こるのも珍しくなかった。現代農耕は稲を育てるだけ。在来農耕では稲以外の作物も。大きな違いは農薬がどの程度使われるか。日本各地では鰻やナマズなどが。水田漁猟。中干し。この時に排水口にウケを仕掛けてフナなどを取ったり。東南アジアでは今でも多い。タウナギなどが漁獲。海南島の水田では小動物も。水田や周辺には様々な野草が。生態学的ニッチ。湖沼や浅い湿地に似通う。湖沼や湿地から世界に拡大。海南島の調査では水路に38種の野草が。畦に生えたものは食用にもされた。インドネシアでも殆どの野草が食用に。ナンゴクデンジソウ。海南島はリー族料理にも。インドネシアでは食べられないとされる。2つの地域で異なる扱いを。調理法の違いが?水田周辺の野草は茹でただけではなく中国風の調理が有効。インドネシアではポピュラーではない。水田や周辺の野草は肥料としても。但馬牛でも。水牛に畦の野草を食べさせる。日当たりがよく。
行う人の在来知識。大きな意味を持つ。海南島の過食野草、どの草が食べられるかの知識が。網羅的に採集し村の女性達と両方に。根っこを触ったりしながら。学名を同定する植物学者の仕草に似ている。本や資料にまとめられるのではなく口頭で伝えられる。新しい経験が積み重ねられ上書きされる。
パプアニューギニア高地のサツマイモ耕作。栄養素の補給が必要。現代農耕では化学肥料や堆肥の投入が前提。高地では10年から15年。条件の良い畑ではもっと長い。農学の基本原則としては不思議。絶え間なく改変。男性は葉っぱが寄与する樹木を植える。草本を除草せずに畑に残す。自然林は消滅し野生動物はほとんど居ない。地域で重要な在来知識。畑に植えられている食物の中でどれがサツマイモ耕作に有益が。人により評価が分かれる。ホゲ。いちじくの仲間。ほぼ全員が。ハロ。半分が寄与するとし半分が寄与しないと。住民により変わらぬ民俗知識というイメージとは大きく異る。集団でそれなりに共有されたコアな領域はあるが、周りには個人レベルで生まれ続ける大きな領域が。その中には必ずしも寄与しないものが。曖昧な部分は再現可能性という価値観とは相容れない。潜在的な選択肢としての。
在来農耕のあり方は複合的。

 

総合人類学としてのヒト学 (放送大学教材)

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