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公立博物館財政分析の進展と展望(博物館経営論第1回)♯放送大学講義録

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はい。今も、これから必要な部分のお話がありましたが、この研究の最終的な目的は、博物館を評価し、経営改善に資する財務データを提供することだと思います。今後の展望や現在の進捗について教えてください。

はい。先ほど都道府県立の話をしましたが、進捗で言いますと、現在はさらに日本全国20の政令市における公立博物館の財務分析に取り組んでいます。基本的な分析手法は都道府県立の時と同じですが、用いるデータが一定のルールによって記録されたものであり、比較可能性がきちんと担保されているかを、今、共同研究者と議論しているところです。

今後の展望として明らかにしたいのは、先ほど言った自己収入対経常費用比率が高い館の特徴です。都道府県立館の財務分析をした際に、この比率の高低に館種や地域は関係なさそうなことが分かりました。では、何が要因となって高くなるのか。規模なのか、コレクションの質や量なのか、それとも職員数なのか。もちろん、これらの要因が複雑に絡み合っていると思いますが、それを明らかにしたいと思っています。

この数値が高くなる、もしくは低くなる要因が分かれば、この条件下では自分で稼ぐには限界があるという館が分かると思います。こうした特徴が明らかになれば、主観や感情論で「経営努力が足りない」といった批判を受ける可能性を下げることができるでしょう。

ただ、逆を言うと、この条件下ではもっと稼げるはずの館が十分に成果を上げられていない場合、そのことが批判の対象になる危険性もあります。

今お話があったように、この比率の高低が何によって決まるのかは、結果が出たら非常に興味深いですね。ありがとうございます。私もどんな結果が出るか、すごく楽しみにしています。

はい。