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ルソー『告白』(ヨーロッパ文学の読み方近代篇第7回)

ルソーの作品を読み解いてみたくなった。

 

ルソー「告白」。フランス啓蒙思想。フランス革命や人権思想に影響を。生涯を包み隠さず書いている。文庫3冊。いわゆる自伝というジャンルを切り開いた。揺るがない意義を。後世への影響。今読んでも面白い。成長の物語。18世紀は未だ社会的制約が強かった。精神の自由と独立を如何に守り抜いたか。近代的人格。どうやって革命を起こそうとしたか。アクチュアルな意義。
人生の歩み。1712年6月にジュネーブで。共和国として独立した都市国家。宗教的にはプロテスタント社会。12歳で働き始める。徒弟奉公を。カトリック信者との保護者の出会い。カトリックに改宗してパリに出る。「学問芸術論」で世に知られる。世を騒がす?社会の在り方を根源から。「エミール」が1762年に焚書処分を。8年に及ぶ亡命生活を。フランス社会にとってよそ者。居場所が何処にも見いだせなくなる。異邦人の生涯。「告白」の性格。唯一無二の。存在として確立を。
最後の審判のラッパはいつでも鳴って良い。同じ人間仲間への告白。全く違うという意識。鋳型は壊されてしまった。その例外性故に自分を記す。何故これほど自己を特別視出来るのか。過剰な自負、傲慢さ。自己を防衛し正当化する事情が。少なくとも空前の異様さを帯びる。フランス文学での私の表現。16世紀にモンテーニュが「エッセイ」を。これは例外。古典主義の美学が完成。私は憎むべきものである。パスカル。広く共有。「告白」は遠慮をかなぐり捨てている。司祭の前で自らの罪を懺悔する。神を想定した究極の告解。神の許しを求めるだけでなく、少なくとも別の人間である。差異を肯定しようとする。ロマン派が肯定しようとする自分の在り方。革新的なものだったが、私を語るジャンルが無かったわけではない。メモワール。回想録は身分の低い者が書くものだった。著者が自分の子供時代について殆ど語っていない。当時の考え方が反映。誕生に始まって幼い頃に「告白」はページが割かれている。人間にとって子供時代の重要性を発見する。幼少年期の物語。誕生が既に1つのドラマ。不幸の最初のもの。亡き母と対比して父親の姿も。また泣くんでしょう?感情の繊細さを寡夫となる父から。強靭さも。読書好きな子供。小説類を。仕事部屋の古典を。対比列伝。心のヒーロー。スカイボラ。共和政ローマの人物。自ら松明を掴んで平然としていた。会話から共和主義的な精神が。束縛や隷属を我慢できない性格。いつも苦しんだ。15歳でジュネーブから姿を消す。日曜日に郊外を散歩。街に戻れなくなる。その場で二度ともう親方の家へは帰るまい。憎い親方に絶縁状を。放浪の日々を。しかし恥ずべき傾向を。牧師の妹に怪しい性衝動を。生々しく書き込まれている。嘘なども正確に跡づける。無意識的な衝動。現代に通じる自我の捉え方の先駆。危うさを肯定しているわけではないが。確固とした徳を求める。独学で旺盛に学ぶ。パリに出て百科全書家の、特にディドロと。「学問芸術論」。49年に懸賞論文として。新たな覚醒を促す。50年。例の懸賞論文が当選。母体となった全ての思想が目覚める。ヒロイズムと美徳が発酵する。自由で徳高く。覚悟が決まった。著作について、悪くなるのはただ社会制度のせい。自分自身の内面に立ち返ると良心が見出されるという確信。ルソーの自己革命が始まる。他人の価値判断に従わない。残り少ない余生を。ただ自分に良しと思われることを。内なる徳の命じること。様々な外的障害にぶつかる。選択の純粋さが証明される。8巻のエピソード。オペラを書く。意外な評判。深く音楽を愛して居たルソーは、一週間ほどで書き上げる。自分の為だけに聞いてみたかった。ついにはオペラ座で上演されることに。自己革命と折り合いがつかない。無作法さは勇気のある印?国王の目の前で、上流階級のマナーとは何の関係も無いと。後へは引けない。あらゆることに服従しようとするのでなく。外形は質素で投げやりだが不潔ではない。滑稽だ、無礼だ?嘲笑も非難も我慢できなければ駄目だ。誰をも容赦しないぞ、とまで思いつめる。上流階級が好奇の眼差しを。礼儀正しく。愛らしい女性を感動させた喜び。作者としての虚栄心よりも性の歓喜。男ばかりだったら欲望に苛まれなかった。ルソーによって芸術の力への啓示。性の陶酔と結びつける分析家ルソー。芸術家が社会制度の制約の下にあることを悟る。オペラの上演の直後、王宮に参上せよとの伝言。ルイ15世は年金を賜わろうとした。行かなかった。年金という束縛から逃れた。受け取ればご機嫌取りをするか、口をつむぐことしか出来ない。真実の利益の為に世間体を犠牲に。グリム。常にお金の心配に付き纏われていた。偉大なメセナとしての王を賛美するのが芸術家だった。我を通そうとする。友情まで失う。ディドロなどは冷ややかになる。自己革命の態度は彼らに取り理解し難いものだった。ターニングポイント。後半の部分では陰湿なものに。苦渋に満ちている。前半との落差は大きい。謎めいた陰謀の存在がしきりに持ち出される。闇の存在による。啓蒙思想家たちが反ルソーの陰謀が。迫害が一層酷くなる。書き上げた原稿を朗読する。一同皆黙り込む。感動したのは1人だけ。この朗読と私の言明から得られた成果。17時間の朗読、共感に打ち震える者も現実には居たが。「告白」の後も自分を問いかける。「孤独な散歩者の夢想」。第5章。スイスに亡命したときの。平穏と安らぎの。1人岸辺に佇む。感覚を委ねる。真の幸福の体験。孤独の縁に沈んだ?つながりを作りたいという欲望があった。それこそ書くことを止めずにおびただしい作品を書いた理由。自分の価値を理解してほしいと。ルソーの願いは没後に劇的に実現。「告白」が大革命直前に世に出た。勃発後は先駆者ルソーの崇拝を。パンテオンへの。91年に革命政府がパリの中心に。偉人を讃える。遺骸はパンテノンに移される。自由と平等の使徒。人類からの感謝。迫害したはずのフランス人から神として讃えられる。大きな逆説。ルソーは世間から遠ざかろうとする方法が世界を変えた。自己革命は自己から遠ざかろうとする。偏狭さや意固地さ。いわゆる鎖に繋がれた人々に訴えかけることを。超人離れした個性。無理解に晒される。絶えずパラドックスが。神格化しようとする人に対し困惑する表現が。選択の労は読者に任せるべき。アクチュアルな書であり続ける。

 

ヨーロッパ文学の読み方―近代篇 (放送大学教材)

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