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ディドロの演劇美学(美学・芸術学研究第15回)

没入なりきり型が圧倒的に多いというのは、結構衝撃的なことのように思える。文化祭なら通用するのかもしれないけれど。上演するのは1回だけだから。

 

ディドロの演劇美学。知の巨人。多方面に亘る仕事。百科全書の編集者だったからでなく、各々の分野でプロの学者とも論争を。芸術に限っても多方面に。芸術作品も。哲学的美学などの一部をみてきた。演劇美学を。これこそ演劇に関する一般的思い込みを打破するもの。役者の演技の在り方について。2つの見方。河竹登志夫。心から入り自己を没入させる。形から入る。泣くという演技。没入なりきり型。感情移入型と他者表現型。典型表現型。没入なりきり型が支配的。正しい演技論として流布。ロミオとジュリエットの2人の俳優を閉じ込めて愛していると繰り返し言わせたりするなど。没入なりきり型にならないと良い演劇にならないとプロでも語る。スタニスラフスキー・システムの誤解、一面的理解。根本的限界を。典型表現型が正しいとディドロが。コメディアン。役者という意味。偉大な俳優に多大な判断力を。観察者がいなければ。洞察力と無感受性を要求する。等しく適応できる能力を。感受性を全く要求しない演技論。感性を要求していない、ということではない。無感受性演技論。能動的感性ではなくて、以下のような感受性は要らない。1752年版の辞典。感じやすく他人が容易に感動させる人の特性。他人によって容易に心を動かされる心の柔らかい状態。かき乱されることなく演技を。更にその上に全てのものをミーミーシスする技を。様々な突発的事態に冷静な観察者としての自身を持ち続ける。泣くという場面。本当に泣いてしまうと。感受性に富んでいれば、3回目の上演では疲れ切ってしまう。自然の思慮深い弟子であるならば、上演ごとに新たな考察によってよりしっかりしたものになるであろう。心で演じる俳優の不確実性。考察によって理想的モデルによるミーミーシスによって、記憶によって演じる俳優は等しく完全である。連続上映で成功する可能性は全く無い。俳優というプロの職業は何千回も。オペラ座の怪人。19年春の段階で1万3千回を。恒常的な成功がプロには要求される。ムラのないシステムが。俳優の精神面も確保されない。同じことの繰り返しに疲れてしまう。無感動で冷たい惰性的な心の状態に。凡庸なつまらない大根役者を作るのが感受性。卓越した役者を。涙は頭脳から。強い感受性に頼るのが凡庸な役者。そもそも感受性とは全く異なるのが優れた俳優。感受性がないからこそ素晴らしい演技が出来る。感性がないこととは違う。自然の注意深いミーミーシス。理想的モデル。ある役者がある女優に実生活で惚れた。役そのものであることが可能に。役作りや偉大な演技が出来ずに、一個人としての心を露出するしかないので。芸術家の自己表現では全く異なる、自然に対するミーミーシス。考察によって少しずつ作り上げるモデル。長期の経験に基づいての能力。心から入る役者でなく、感情移入的な近代主観的在り方でなく。理想的モデルの典型を。演技実践論。
20世紀。スタニスラフスキー・システム。俳優養成システム。河竹登志夫。日本の演技は他者表現型。感情移入型。スタニスラフスキー・システムが日本伝統演劇と対立する没入なりきり型の代表的なものとしている。演者自身が心になる。この方法は演劇の主流に。47年の俳優論。リアリズムの全盛。スタニスラフスキー。超課題を自然に行動し成功させる。ドラマ上の人物として生きる。しかし間違っている。ディドロと同じことを主張して論争に。レベルの低い単なるジャーナリズム。間違いは間違い。ディドロの演技論の先駆的意味。スタニスラフスキー・システムについて。3つの誤解。堀江氏。社会主義的リアリズムという誤解。演技は感情から入る。感情同化である、という誤解。先ずはテーブルに座って思想的勉強を、という誤解。役への感情同化?複雑な歴史的事情が。翻訳出版の権利。勝手に原文を削除してレベル低く翻訳。用語を発明までする。正式な翻訳の代理人として。ロシア語原文から翻訳しようとしても権限を主張。学問的に信用の出来ない英語版に基づくしかなくなってしまった。歴史的不幸。アメリカ人女性がレベルの低い演劇論に基づき。スタニスラフスキー・システムが没入なりきり型という誤解が世界中に。日本における翻訳。大半は英語版やドイツ語版から。09年に至るまで俳優の仕事第3部は翻訳されなかった。ようやく真の姿が。心理そのものを演じろうとしてはいけない。しっかりとした身体的構造に基づいて。身体的構造の理論。典型表現型の理論。ロミオを演じる役者。ジュリエットにうっとり。俳優の語彙にあってはならない。行動ではないから。可愛さをよく見て評価をしなければ。ジュリエットに惚れている。そうではなくて恐ろしく注意を払っている、でなければならない。愛の感情自体を演じてはいけない。感情を追いかけず正しい行動を。極めてディドロ的な。俳優の演技論、システム。ディドロが先駆的に。判断力をもってして即応する。観察に基づき作り上げる。優れた俳優の条件。芸術創造の深い立場。演劇のプロのための創造美学。カント美学のような受け取る美学ではなく。アリストテレス美学と同様に創造の美学。実践的政策の美学。現在においても生きている。
語るべきことは多い。学は長く人生は短い。広大無辺な世界を垣間見たに過ぎない。芸術の素晴らしい世界を。本質に感動する、ということを。美は芸術は世界に内在して根源的な本質を。芸術の真理に達する。美学芸術の世界を。

 

美学・芸術学研究 (放送大学大学院教材)

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