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発達研究の基本的なアプローチを、日誌研究、横断研究、縦断研究、コホート研究など、データ収集と分析方法を通じて詳細に解説。(発達心理学特論第1回)♯放送大学講義録

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人の発達を捉える研究方法についてお話しします。発達研究の方法は多岐にわたりますが、基本的なアプローチの一つとして日誌研究があります。この方法では、個人の行動や心の営みを詳細に観察し、記録に残します。例えば、チャールズ・ダーウィンは1877年に「マインド」という哲学雑誌に自分の長男ウィリアムの観察日誌を発表しました。この日誌には視覚、感情、思考、道徳感、無意識などに関する詳細な記録が含まれており、後の児童研究に大きな影響を与えました。

研究方法を考える際に重要なのは、データの取得方法、分析方法、研究対象、研究の目的をどのように定めるかです。データの取得方法としては、ダーウィンのような観察法の他に、条件をコントロールした実験法、紙と鉛筆を用いた面接法、そして調査法があります。特に面接法では、質問の内容や順序を相手の状況や回答に応じて柔軟に変更する半構造化面接があります。

データの種類によっては、量的研究や質的研究、またはこれらを組み合わせた混合研究を行います。研究対象としては、横断研究と縦断研究があります。横断研究は一定の時点で異なる年齢層を対象に調査を行い、縦断研究は同じ対象者を時間を追って観察します。また、コホート研究は特定の集団に焦点を当て、長期間にわたってその集団の環境との相互作用を調査します。

これらの研究方法を通じて、例えば疫学研究ではある地域で生まれた赤ちゃんのアレルギー発症について長期間にわたりデータを収集し、アレルギーの発症要因やその影響を分析することができます。これにより、地域ごとの発症率や影響する要因、症状の悪化要因を理解する手助けとなります。