-----講義録始め-----
最後に、何を目的とするかですが、こうしたデータを得ることで発達の実態をきちんと把握しようとする実態把握研究は非常に重要です。一定の知見を得られれば、それを手がかりにして大きな問題になる前に介入できますし、実施した介入が実際に意味のあるものだったかを検討する効果研究もあります。最終的には、適切な介入につなげるために何をすべきかに関する情報を得ることがとても重要ですが、現段階ではまだ明確な結論に至っていません。
その意味で、地道ではありますが実態把握をきちんと積み重ねていくことが重要だと考えます。今日は「発達とは何か」というテーマで、発達をどのように捉えていくかについて話しました。
人の発達とは、必ずしも何か良いプラスの状態を重ねていくだけではなく、プラスのものがあれば、それに伴う喪失というマイナスの部分もあり、その両方を合わせ持ちながら進んでいくものです。さらに、人の発達を捉える際には、生まれてから死ぬまでの生涯にわたる発達的な変化という視点を持つことが大切です。同じような事柄であっても、短いスパンで考えているときと、長いスパンで考えた場合には全く異なる意味を持つこともあります。そのため、生涯を通じた視点を持つことが非常に重要です。これに関連して、フロイトやピアジェ、そして生涯にわたる人の発達を捉えたエリクソンの理論を紹介しました。
エリクソンの理論は、人が生涯にわたってどのように変化していくかという全体的な変化を捉える点で参考になります。また、発達研究の方法についても整理しました。発達的なデータを得ることは、単に子供たちの現状を知るだけではなく、人が発達していくプロセスにおいて何が重要か、どのようなことが必要かを探る上で重要です。この点から、発達の時期を時間軸に沿って捉え、各発達領域を詳細に分析することの重要性を強調しました。