2024-11-14 近代日本における行政と官僚支配の構造(行政学講説第2回)#放送大学講義録 これまでの物理から題材を転換する。 ーーーー講義録始めーーーー 2回目のテーマは「行政と市民」です。 行政は民衆に対する支配を行います。民衆から見れば、民主制が成立する前から行政による支配を受けていることが多くあります。例えば、近代日本は「生まれながらの行政国家」とされてきました。行政を統制する統治者は、制度上も実態上も規範上も多様であり得ます。たとえば、国王、君主、あるいは独裁者が家臣や家来、官僚制度を使って民衆を支配してきました。 この場合、家臣や家来、官僚制が行政の役割を担う統治者となります。日本の江戸時代で言えば、徳川将軍が君主として行政を統制していました。また、明治時代には「大政奉還」「王政復古」によって、天皇が統治者として行政を統制する建前があり、明治憲法では「天皇主権」として明文化されました。 官僚支配とは、行政の担い手である官僚が為政者として民衆を支配する体制であり、官僚自身が官僚を統制するか、無統制の状態であることを指します。たとえ名目上は国王、君主、将軍、天皇が統治者であったとしても、実質的な支配者でない場合、官僚制が実質的な統治者となります。 行政学講説 (放送大学教材 5182) 作者:金井 利之 放送大学教育振興会 Amazon