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微積分で理解する速度と位置の関係(初歩からの物理第2回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

そうですね、逆に、瞬間速度から位置の変化を求める、つまり逆算することも可能ですね。

今やったのは、時間を細かく区切って瞬間ごとの速度を捉えることです。今度は、これらの瞬間を集めて有限の時間幅にしていく、つまり細かく分けたものを積み上げていく操作を行います。これが積分です。分けて積み上げる、つまり「積み分ける」ことが積分の考え方です。

実は、積分という発想は微分よりも古く、アルキメデスがすでにこの考え方に言及しています。さらに、惑星運動の法則で知られるケプラーも積分の発展に貢献しました。ケプラーが17世紀初頭にワインを買おうと酒屋に行ったとき、樽の容量を正確に測る方法がなくて困ったそうです。それで、ワイン樽を薄くスライスし、簡単な図形として積み上げて容量を計算すれば良いと考えました。もちろん実際に樽を切ったわけではなく、頭の中で思い描いたわけです。こうしてケプラーは、1615年に『ワイン樽の容量測定法』という著書を発表しました。

話を戻して、速度と位置の関係をどのように表すかを見てみましょう。

こちらのグラフをご覧ください。横軸が時間、縦軸が速度を示しています。このグラフでは、速度が直線的に増加している、つまり加速している様子が描かれています。赤く塗られた短冊形のエリアは、非常に短い時間間隔での速度を示し、各時間間隔での速度が変わらないものとして扱っています。つまり、短い時間であれば速度を一定とみなして良いわけです。

こうして短い時間ごとに速度を一定とみなして積み上げていくと、最終的に三角形の面積を求めればよいということになります。

階段状の短冊が非常に細かくなれば、滑らかな三角形とみなしても問題ありません。この赤色の三角形の面積は、底辺×高さ÷2で求めることができるため、これを用いて位置の変化を求められます。

また、12at2\frac{1}{2} a t^2の形で表されることに気づきますね。比例定数 aa は省略していますが、t2t^2 の形が出てきます。これが積分の結果として導かれる形です。また、微分を用いてこの位置関数から速度を得ることもできます。

これを行き来できるのが微積分の基本であり、これはニュートンやライプニッツが確立した概念です。このように、微分と積分は位置と速度の関係を把握するための重要なツールです。

微積分を使うと、瞬間速度を求めるだけでなく、逆に瞬間速度から位置を求めることもでき、物理現象の理解が一層深まります。この話をさらに進めていくと、微積分学へとつながっていくのです。

 

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こちらが「時間を横軸」「速度を縦軸」にしたグラフです。速度は直線的に増加し、その下の青色のエリアが積分された「位置」を表しています。位置は速度の時間に対する積分で、時間の二乗に比例する関係を示しています。このグラフで、微分・積分を通じた速度と位置の関係が視覚化されています。 

 

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