ーーーー講義録始めーーーー
「さて、今こちらにあるのが、ガリレオ・ガリレイが400年以上前に行った実験装置の再現モデルです。ぜひ、ガリレオに代わって実験を試してみてください。」
「はい、それでは実際にやってみますね。」
(ボールが落下する音がする)
「おっ、音がしましたね。もう一度やってみましょう。」
「はい、もう一度。」
「確かに、このくらいの速さなら観測しやすいかもしれませんね。でも先生、この途中で鳴る鈴にはどんな意味があるのでしょうか?」
「いい質問ですね。この鈴の位置は調節できるようになっていて、ガリレオはこの鈴の位置を微調整することで、鈴が鳴る時間間隔を一定にしようとしたんです。『チャリン、チャリン』と一定の感覚で音が鳴るように配置しているのです。」
「なるほど。時間の感覚が一定になるように配置したということですね。同じ時間間隔で運動が進んでいるのを測るための工夫なんですね。」
「そうです。ガリレオはこうして『時間』を運動を測るための尺度として使おうと考えたのです。」
「それでは、鈴の音に注意しながらもう一度試してみましょう。」
「わかりました。(ボールを落とす音)確かに同じ間隔で鈴が鳴っているようです。」
「その通りです。では、この鈴の位置を測って、記録してみましょう。」
「はい。1つ目の鈴が5センチ、2つ目が20センチ、3つ目が45センチ、4つ目が80センチ、5つ目が125センチの位置ですね。」
「素晴らしいですね。これで距離を記録できました。次に、鈴同士の間隔も読み取ってみましょう。」
「了解です。では、1つ目と2つ目の鈴の間隔が15センチ、次が25センチ、次が35センチ、そして最後が45センチです。」
「その通りですね。この間隔に注目してみると、15、25、35、45と『奇数』の倍数で増えています。これにはある意味が隠されているんです。」
「なるほど、何か特別な関係がありそうですね。」
「そうです。ガリレオは、このように観測したデータをもとに、時間と距離の関係を数式で表せると気づいたのです。同じ時間の間隔ごとに測定した距離を次々と足していくと、時間の『2乗』に比例して距離が増えていくことがわかりました。」
「それを関数で表すことができれば、他の現象にも応用できそうですね。」
「その通りです。こうした考え方が物理学の基本となり、他の運動や現象にも汎用的に適用できるようになったのです。」