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国際単位系の基本単位と不変定数(初歩からの物理第1回)#放送大学講義録

ーーーー講義録始めーーーー

 

先ほど、ガリレオが近代科学の基礎を築いた本質が「実験を行い、その結果を数値化すること」にあるとお話ししましたが、例えば長さを測るためには物差しを使いますよね。

ええ、そうですね。自然現象を測定する「物差し」は、長さだけではありません。他にはどのような物差しがあるのでしょうか?

時間を測るためにはストップウォッチを使って、秒や分といった単位で表しますよね。また、重さを量るときにはキログラムやトンといった単位を使います。こうした単位の基準がないと、混乱してしまいますね。

そうです。例えば、「1メートル」と言っても、私の1メートルとあなたの1メートルが違っていたら意味がありません。そこで、自然科学では基本単位を設定し、たとえば「1メートル」を定義します。

こちらは、2019年に改定された「国際単位系(SI)」で定義された単位です。上から順に、秒、メートル、キログラム、ケルビン(温度)、アンペア(電流)などがあります。最初の3つは非常に身近ですね。

定義を詳しく見てみると、驚きますよ。例えば「秒」は、セシウム133の原子の基底状態の超微細構造の遷移周波数を 9,192,631,770 ヘルツと定義しています。ヘルツとは、1秒間に何回振動するかを示す単位です。

複雑ですね。

「メートル」も同様に、光が真空中を進む速さ299,792,458 メートル毎秒と定義し、光が1秒の 299,792,458 分の1 の時間に進む距離を1メートルとします。そして「キログラム」は、プランク定数によって定義されます。プランク定数は、まだ聞いたことがない方も多いかもしれませんが、正確な数値で定義されています。

定義を聞くと、単純だと思っていた単位の意味を理解するのにも、かなりの物理の知識が必要だと感じますね。

そうですね。実際、これらの改定は2019年と比較的最近の話です。ブレのない単位を目指していくと、こうした定義になっていきます。今出てきた「真空中の光の速さ」や「プランク定数」は、普遍定数と呼ばれるものです。

普遍定数とは何ですか?

普遍定数とは、地上でもアンドロメダ銀河でも同じ値を持つ定数です。たとえば、真空中の光の速さは、地球上で測ってもアンドロメダ銀河で測っても同じです。これらの基本的な定数は、宇宙のどこでも変わらないため、信頼できる基準として単位の定義に使われています。

ただ、今回のお話は少し難しかったかもしれませんね。物理の勉強を始めたばかりの方は、まず「秒」「メートル」「キログラム」など、身近な単位に親しんでください。その背後には非常に奥深い定義があることを感じてもらえればと思います。