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地域包括ケア時代の看護師育成ポイント(看護学概説第1回)#放送大学講義録

以下の6つの能力群の詳細は https://www.janpu.or.jp/file/corecompetency.pdf を参照されたい。

 

ーーーー講義録始めーーーー

 

超高齢社会の進展や家族構造の変化、医療環境の多様化に伴い、看護が提供される場は病院施設から地域・在宅へと拡大してきました。それに伴い、看護への期待も高まり、看護実践者が身につけるべき能力が重要視されています。

印刷教材「図1-1 コアコンピテンシーに基づく看護学士課程教育の構造」に基づいて説明します。2018年に看護学士課程で求められるコアコンピテンシーとして以下の6つの能力群(計25項目)が設定されました。

  1. 対象となる人を全人的に捉える基本能力(4項目)

    • 看護対象となる人間と健康を包括的に理解する基本能力
    • 人間を生物学的に理解しアセスメントに活かす基本能力
    • 人間を生活者として理解しアセスメントに活かす基本能力
    • 人間を取り巻く環境を理解しアセスメントに活かす基本能力
  2. ヒューマンケアの基本に関する実践能力(3項目)

  3. 根拠に基づき計画的に実践する能力(6項目)

  4. 特定の健康課題に対応する実践能力(4項目)

  5. 多様なケア環境とチーム体制に関する実践能力(6項目)

    • 地域で生活する患者とその家族を支援する能力が追加
  6. 専門職として成長し続ける基本能力(2項目)

コンピテンシーとは、単なる知識や技能に留まらず、心理的・社会的リソースを活用し、特定の状況下で複雑な課題に対応する力と定義されます。

2010年版の語群20項目から変更された点として、人間を包括的に理解する能力として「対象となる人を全人的に捉える基本能力」が追加されました。また、地域や在宅看護ニーズの高まりに応じ、5群の名称が「多様なケア環境とチーム体制に関する実践能力」と改められ、地域で療養する患者とその家族を支援する能力が加えられました。

患者の全体像を捉えるためには、例えばゴードンが開発した11の機能的健康パターンモデルを用いる場合、以下を含める必要があります。

  • 生物学的側面
  • 心理的側面
  • 社会的側面
  • 環境との相互作用

看護は、科学的根拠に基づいた知識を用いるだけでなく、看護師自身の存在を道具として活用し、援助的な関係を構築しながら、患者を全体的な存在として理解する方法論を用います。