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人の発達における生涯発達、獲得と喪失、遺伝と環境の役割を探究し、バルテスの理論を基にダイナミックな発達プロセスを解説。#人の発達 #生涯発達 #遺伝と環境 #発達心理学(発達心理学特論第1回)♯放送大学講義録

-----講義録始め-----

 

今回は第1回目として、「人の発達とは」についてお話しします。本日取り上げるテーマは以下の3つです。まず、「発達とは何か」ということについて、発達的変化をどのように見るかについて話します。

第二に、「獲得と喪失」という視点で、人の発達は成長と衰退が混在するダイナミックなシステムとして捉えられます。エイジングに伴い、できなくなることもある一方で、補償的あるいは代替的なメカニズムが発達すると考えられます。例えば、年を取ると忘れやすくなり新しいことを覚えにくくなるものの、経験から得た知恵を活用して忘れない工夫をするなどが可能です。このような発達の両義性に焦点を当てたのは、1980年代にPaul Baltesによってなされた研究で、生涯発達の視点に大きな影響を与えました。

第三に、「遺伝と環境」という視点では、遺伝や環境が発達にどのような影響を与えるかが考察されます。遺伝と環境の影響は、発達の時期によって変わります。例えば、発達の初期には生物学的な影響が強く、高齢になると再び年齢に伴う変化の影響を受けやすくなります。一方、中期には、生きている時代や文化の影響を大きく受けるようになります。現代では、電子機器の普及によって私たちの生活に大きな変化がもたらされています。個々人の非標準的な影響もあり、例えば綺麗好きな人は年齢と共にその傾向が強まることがあります。

人の発達は、時間軸に沿った変化と各発達領域での変化の2つの方向から捉えることができます。生涯にわたる発達は、幼年期から老年期までの時間軸の変化と、各時期に見られる特有の発達の領域の変化からなります。