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リカバリー志向の家族支援では、アウトリーチとACTを通じて、精神障害者とその家族に対する包括的な地域社会での支援が強化されています。(家族問題と家族支援第7回)#放送大学講義録

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リカバリー志向の家族支援の現状として、アウトリーチサービスが重要な役割を果たしています。アウトリーチは専門家が利用者の生活する地域社会に直接訪問し、専門的サービスを提供することであり、日本でも2010年代から精神保健医療改革の中心として位置づけられています。家族相談を通じて家族の不安や疑問の解消、家族のケア負担や生活上の困難の軽減が図られます。アウトリーチは家族支援の一環としても機能していると言えます。

また、統合失調症当事者を対象としたアサーティブコミュニティトリートメント(ACT)は、重度の精神障害者が地域生活を継続できるよう支援を提供するプログラムです。アメリカで始まったACTは、入院期間の短縮や地域生活の安定などの効果が認められており、サービス提供は利用者やその家族が生活する住宅や地域社会で行われます。ACTのサービスは24時間365日体制で提供され、利用者のニーズに応じて柔軟なサービス内容の調整が可能です。

リカバリー志向の実践は、障害者の尊厳、希望、生活、人生の回復に焦点を置き、障害者が地域生活を継続し、社会に包摂されることを目指します。サービス提供においては、当事者のニーズや自己決定が尊重され、支援者との関係は対等なものとされます。ストレングス視点に基づく支援では、利用者の強みや長所を尊重し、それらを活かしながら支援を展開していきます。

これらの取り組みは、リカバリー志向の家族支援が、家族を固有の人生と生活を有する存在として捉え、家族のストレスと生活上の困難、不安を軽減しながら家族自身のリカバリーを促進する支援であることを示しています。家族を生活者として尊重し、支援することがリカバリー思考の家族支援の核心であると言えるでしょう。