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炭素ネットワークが生命分子と有機化合物の多様性を生み出し、原子価が形成可能な構造の種類を指数関数的に増加させる。#炭素ネットワーク #生命分子 #有機化合物(分子の変化からみた世界第1回)#放送大学講義録

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実際、炭素のネットワークは生命分子の多様性の源です。

まず、紹介した三つの分子を例に取ると、2つの炭素に結びついた水素原子の空間配置が異なります。この配置は、エチレンでは平面的な二次元構造を、エタンではより複雑な三次元構造を示します。

このような多重結合の種類が、局所的な空間配置に多様性をもたらします。

さらに、炭素の原子価が4であることは、直鎖状の炭素原子のネットワークだけでなく、途中で分岐したり環を形成したりする構造も可能にします。もし炭素の原子価が2だった場合、直線か単一のループしか作れず、2重結合を形成するとそれ以上の結合ができなくなります。

分子式CnH2n+2により表される炭化水素の種類を考えると、n(炭素数)が1の場合はメタン(CH4)のみが存在し、nが2の場合はエタン(C2H6)のみが存在します。しかし、nが増えるにつれ、可能な分子の種類が増加します。nが5の場合は、直鎖状のペンタンを含む3種類の異なる構造が存在します。

さらに、炭素数が10の場合は775種類、20の場合は約35万種類、30の場合は41億以上の異なる炭化水素が存在することが可能です。この驚異的な数の多様性は、炭素のネットワークとその原子価に基づく構造の組み合わせに由来します。

炭素原子だけからなるダイヤモンドの例は、これらのミクロの構造がマクロな物性、例えば硬さにどのように影響するかを示しています。