ーーーー講義録始めーーーー
3つ目は「ボルツマン定数」についてです。ボルツマンという名前はあまり聞き慣れないかもしれませんが、これはルートヴィッヒ・ボルツマンという19世紀後半に活躍した理論物理学者の名前に由来します。ボルツマンは、膨大な数の原子や分子が関わる現象、いわゆるマクロな現象を、原子や分子の立場から記述しようとした物理学者です。
例えば、コップの中の水や、シリンダーに閉じ込めた気体の振る舞いなど、私たちの身近なマクロなスケールの現象を、ミクロな粒子の視点から理解しようとしました。ボルツマン定数は、このような熱統計力学において重要な役割を果たす定数です。
具体例として、富士山の山頂では水の沸点が下がるといった現象がありますが、これは膨大な数の分子の統計的な振る舞いで決まります。コップ一杯の水にも膨大な分子が含まれていますが、その沸騰温度は一つに決まります。このように、複雑な現象が統計的に記述される仕組みを理解するためにボルツマン定数が使われます。つまり、ミクロな粒子の情報とマクロな現象を結びつける定数なのです。
4つ目は「プランク定数」です。これはマックス・プランクという物理学者に由来する定数で、量子力学の基本定数です。量子力学は、電子や分子といった、10億分の1メートル以下の極めて小さなスケールで起こる現象を扱う物理学の分野で、20世紀に確立されました。
プランク定数は、波として伝わる性質を持ちながらも、観測すると粒として振る舞うという、量子の奇妙な性質を説明するために重要な定数です。この定数は、粒子と波動の二重性を結びつける役割を果たしています。
このように、今回は4つの普遍定数を紹介しました。