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AIの歴史とブームの変遷解説(AIシステムと人・社会との関係第1回)#放送大学講義録

今回の講義は2020年に行われたものであることに留意されたい(ChatGPTなどの生成AIのブームの前だったということ)。

 

ーーーー講義録始めーーーー

 

AI講義の第1回:AIの誕生と発展の歴史

AI(Artificial Intelligence、人工知能)は、ここ数年で大きく進化し、社会に広く浸透しています。この講義では、AIの歴史、新しい技術の例、そして社会情勢について15回にわたり学びます。今回は第1回目として、AIの誕生と1960年代の第1次AIブームを取り上げます。


AIの定義と歴史

AIとは「アーティフィシャル・インテリジェンス(Artificial Intelligence)」の略で、日本語では「人工知能」と訳されます。元々は情報工学の一分野としての名称でしたが、現在では一般の人々も日常的に使う言葉となっています。

2017年に行われたある調査では、「AIは日本語で何と言うか」という問いに対し、90%以上の人が「人工知能」と回答しました。ニュースや新聞で頻繁に登場することから、AIが日常用語として定着していると言えます。

AIは「人の知的な振る舞いを実行するソフトウェア」を指します。その概念は1956年、アメリカのダートマス会議で誕生しました。この会議には約10人の研究者が参加し、AIという専門用語が初めて使われました。


AIブームの経緯

AIの歴史は約60年以上にわたり、ブームと停滞期を繰り返してきました。以下は主な時期の流れです:

  1. 第1次AIブーム(1960年代)
    基本的なアルゴリズムと計算モデルが研究され、AIへの関心が高まりました。
  2. 停滞期(1970年代)
    技術的限界や期待外れから研究が低迷。
  3. 第2次AIブーム(1980年代)
    エキスパートシステムが注目を集め、AI研究が再燃。
  4. 停滞期(1990年代~2000年代)
    計算能力の限界と資金不足から進展が鈍化。
  5. 第3次AIブーム(2010年以降)
    ディープラーニングや計算資源の進化によりAIが再び注目を集める。

このように、AIは紆余曲折を経て現在の発展に至っています。


AIの学術的背景と方法論

AIの定義は研究者ごとに異なる場合があり、分野や立場によって多様性があります。
大きく分けてAI研究は以下の立場に分類されます:

  1. エンジニアリング的アプローチ
    実用的なシステム開発を重視します。
  2. サイエンス的アプローチ
    知能そのものを科学的に解明しようとします。

さらに、方法論は以下の3つに分類されます:

  1. 記号主義(シンボリックアプローチ)
    記号やルールを用いた論理的推論の手法。
  2. ニューロコンピューティング
    脳の構造を模したニューラルネットワークに基づくアプローチ。
  3. 学際領域アプローチ
    心理学、哲学、言語学、脳神経科学など複数分野の知見を融合。

AIと社会の関係性

本講義では、AIの詳細な定義に縛られず、以下のようなAIの特性を説明していきます:

  • 言葉や記号を処理し、推論を行うAI。
  • 音声や画像などの知覚情報を処理し、学習・認識を行うAI。

また、AIの利用方法や付き合い方は、人の立場やユーザーの役割によって変化します。講義を通じて、AIができることとできないことを正しく理解し、未来の社会におけるAIの役割を考える力を養うことを目指します。