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オリジナリティ発現の3ステップとAI (知財制度論第3回その4) #放送大学講義録

全くのオリジナルはない、ということなのだろう。

 

-------講義録始め-------

 

オリジナリティの発現は、次のような3つのフェーズで捉えられると思います。
第1フェーズとして、既存のデータ、情報、知識をシリアルに記録していく学習段階があります。第2として、その知識、データベースをランダムにアクセスし、検索できる関係段階があります。
最後に、その知識ネットワークから自己再生産を繰り返す循環段階があります。
これは、大量の知識、データに対して高度な推論を的確に行うことを目指したものである。人工知能、AIの推論と言ってもよいでしょう。自己再生産がオリジナリティの発現を意味することになります。
模倣が批判的に言われるのは、第1フェーズの学習段階にとどまっているか、第2フェーズの関係段階から第3フェーズの循環段階への転環がないとみなされるものに対しての社会的な評価に対応すると言えるでしょう。
もし純粋なオリジナルがあるとすれば、引用する必要はありません。科学理論の創作では、先行研究との比較から多くの引用や参考文献が表記されます。
例えば、アインシュタインの特殊相対性理論の論文には、引用や参考文献の記載がありません。しかし、特殊相対性理論にはマッハの物理理論のアイデアがあったとされています。
引用による文献の表示は、先人、つまり先に研究を行った人により知的創造されたものを合理的に蓄積していくものになります。
その時、知的創造されたものへの注目が伴います。創作時や公表時の前後とは別に、そのアクセスの有無が模倣とオリジナリティとの判断に関係することになります。