「社会資本」と書いた方が分かりやすいだろうか。
-------講義録始め---------
地域を対象とした研究の中で、ソーシャルキャピタルを紹介します。政治学者パットナムは、ソーシャルキャピタルを、人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる信頼、規範、ネットワークなどの社会的仕組みの特徴と定義し、日本でも政治学や経済学、開発学などの社会科学や政策科学を中心に、その概念の紹介や理論的検討が進められています。その中でも健康は、ソーシャルキャピタルが最も実証されてきた領域の1つです。すなわち、人々が信頼し合って協力し合うような社会では、その地域の人々の集団としての健康が良好であり、逆にソーシャルキャピタルが低い地域では不健康なことが多いことが明らかにされています。このソーシャルキャピタルは、地域づくりの根拠として着目されており、少子高齢化の社会においても、社会的な環境を整えるアプローチとして期待されています。また、地域を単位とする研究では、住民と専門家との共同や、その問題や課題の当事者と研究者が共同で研究に取り組むスタイルの参加型行動研究というアプローチも行われています。このスタイルで研究を行うことは、従来の研究よりも実効性の高い政策づくりが可能になることや、住民のエンパワメントを高めることが期待されています。