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研究の種類と論文執筆のコツ📝(ヘルスリサーチの方法論第4回その8) #放送大学講義録

研究は形式面も問われることを覚えておきたい。

 

--------講義録始め-------

 

研究においては、使用するデータの質によって、量的研究と質的研究に分けることができます。前者はデータを記号や数値に変換し、数や統計量として表現されます。一方、後者はインタビューの逐語録や観察記録文書など、多様なデータを含む特徴を持っています。

研究方法の選択は、何を明らかにしたいのかによって決まります。先に述べた服薬コンプライアンスの例でもわかるように、量的研究では事象の程度や頻度、広がりや関連の強さを明示的に示すことができ、その結果を母集団に適用することができます。こうした情報は問題解決や優先順位付けのための根拠として活用されます。

それに対して、質的研究では、より少ない対象の主観的な経験や意味づけを中心に捉え、その解釈や洞察を通じて対象や現象をより深く理解することが可能です。

研究プロセスは、量的研究と質的研究で異なる特徴を持っています。量的研究では、仮説を検証するための調査票の完成度が研究の質を大きく左右します。したがって、前半のプロセスが重要であり、時間とリソースを要します。それに対して、質的研究では、データ収集の段階で明らかにしたい要素が徐々に焦点を絞るため、問いを立てる段階ではあまり厳密でなくても問題ありません。そして、データの収集後から分析・結果の整理までの後半の過程が質的研究の質を左右する要素となります。

また、どちらの研究方法においても、研究計画を立案し、倫理審査を受けるための時間予定を設けることが重要です。倫理委員会の審査は時間を要する場合もあり、2ヶ月以上かかることも少なくありません。

質的研究の動向は21世紀に入って急速に発展し、異なる学問分野や主題を横断して学際的なアプローチが広がっています。この背景には、個人の経験や価値観を重視する動きや、生きた経験や語りを通じて社会の本質に迫る視点があると言えます。

学術論文の執筆においては、内容だけでなく形式も重要視されます。学術雑誌には投稿規定が存在し、その形式やスタイルに従って執筆する必要があります。特に人を対象とする研究や遺伝子情報を含む研究、実験動物を用いる研究では倫理審査の許可に関する明記が求められます。これは学術論文が効果的に流通し、学術コミュニケーションが確立されるための基盤となっています。

最後に、文献の活用について触れておきましょう。学術論文にはさまざまなスタイルがあり、それぞれの学術雑誌が独自の投稿規定を持っています。引用情報を整理する際にはこれらのスタイルに従って文献情報を書く必要があります。これらのスタイルに従って引用情報を整えることが重要です。