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磐姫皇后像の形象(『古事記』と『万葉集』第7回)

そもそも何人もの女性をとっかえひっかえすることからして異様だと現在から見ると思う。まあ高貴な人々の間だけの現象だと思うけれど。

 

多田一臣。高山久美子。古事記の下巻。仁徳天皇。磐之媛皇后像。皇后に焦点を。裏側から仁徳天皇を。仁徳天皇は古事記の下巻を代表する天皇。聖なる天子、聖帝として造型されている。その皇后の磐之媛は極めて嫉妬深い皇后として描かれている。日本書紀も同様。なぜ聖帝である天皇が皇后としたか。磐之媛の嫉妬の意味を探ることで古事記の歴史叙述を。
仁徳天皇。どのような聖帝として?名前でなく諡号。漢風諡号。亡くなった後の諡。名前は大鷦鷯。鳥の名でミソサザエ。天皇に相応しい諡号を。古い時代の天皇の諡は、奈良時代に一括して。大美野御船が有力。天智天皇の。なかなか優れた学者。如何にも聖帝に相応しい。徳。有徳の天子。まさしく仁徳天皇は有徳の天子として。住之江の港を定めたりするなど。国中から煙が出ないので3年間税を免除。損傷したが修繕が出来ず。雨漏りも。天皇の仁慈を強調する話として国史の教科書にも。古事記を見ると聖帝でありながら皇后の嫉妬に。嫉妬を巡る2つの物語。磐之媛の嫉妬深さ。とにかく嫉妬心が強い。他のお妃が話すと地団駄を踏んで悔しがる。小さな子供が地団駄を踏む風景が。あれと同じ。嫉妬の事をうわなり妬みと。後から寝取った妻。前妻が親しい者と後妻を襲う。出自が高い。皇女に劣る。激しい嫉妬に。仁徳天皇は不在であった時に関係を。紀の国に出かけていた。どうやら葉を重ねて折りたたみ酒を。お祭りの場では植物を用いるのが正式。噂話にしろ余計なことを。物語の筋書き。癇癪を起こす。堀江をずっと遡り、山城川から望郷の歌を。綴喜郡。家に入り立てこもる。仁徳天皇はなだめて戻ってもらおうと使いを。なかなか面白い。歌を託す。会おうとしない。建物の前で。徹底して会うのを拒む。雨に打たれたまま待ち続ける。表度と裏口。今昔物語集の中国の説話。冥途の使いに。呼び出された子供は閉じ込められると足元が火の海に。戸が閉まってしまう。ヒザから下の肉が焼け立たれてしまう。状況は違うが同様な類型表現。口姫。磐之媛に仕える。3人で相談して仲を取り持ち和解することが出来るよう計略を。天皇が行幸。一緒に戻ったか?結末は明瞭でない。どうやら和解に至ったと読める。それが古事記の狙い。日本書紀では相当に違う。交渉は不調に。難波宮に戻らないまま亡くなる。記紀の間には違いが。どのように考える?吉井巌の説。日本書紀では磐之媛の死去が必要だった。古事記の磐之媛の物語が原型に近い。葛城氏に密着したのが相対化。結末は曖昧にされている。和解に至ったような書きぶりに。日本書紀への配慮が。本来の結末は和解と見るのが自然。
磐之媛は嫉妬深いとされたのは何故?最初にオオナムヂと会った神。八千矛の神。スセリヒメ。嫉妬の物語は王者の徳を表すものと。諡自体に徳が含まれている。いきおい、正義。周囲を動かすカリスマ性。徳について。不徳の致すところと支持者に詫びる。当人の気持ちはともかく古代の気持ちに通じている。カリスマ的力がなかった。古代の徳を意識してしまう。嫉妬の意味。吉井巌氏。神が絶対の信奉を要求し破られると怒りが。女神の偉大さは嫉妬の深さで造型。鎮められる為に語られる。オオナムヂの神の側から一段と偉大ということに。磐之媛の場合も傑出した皇后とされる。帝王としての偉大さを。帝王の徳を表現。仁徳天皇のあり方が王者の色好み。折口信夫氏。多くの女性との交渉を。色好みを宗教的背景を。多くの女性。地方豪族の娘を。支配権をも獲得。氏族の神の祭祀権を手に入れる。鈴木英雄。光源氏の偉大さの顕れ。魂を引きつける魅力を。妹の力。女兄弟の魂が男兄弟の無事を。琉球弧。柳田国男は宗教的霊力を。惹きつけられた女性の魂は男性の守護神にもなる。更に偉大さが輝きます。仁徳天皇の多くの女性との交渉も同様。磐之媛の嫉妬は?強い情念の顕れ。愛情の裏返し。実は並外れた愛情の持ち主。そのように描いた歌も万葉集にある。仁徳天皇の旅からの帰りをひたすら待つ。御歌4首。全体として起承転結。夫の帰りを待つ女性の。伝承された歌で実際に作ったとは言えないが、磐姫皇后の物語が作り上げられた。夫、仁徳天皇への強い愛情。岩を枕に死んでしまおう。激しい行動性。支えているのは強い情念。反対に嫉妬にも。伝承の作ではあるが激しい嫉妬とも矛盾しない。皇后の魂を引きつける仁徳天皇は偉大。古代の英雄。磐之媛のみならず多くの女性の魂を引きつける。磐之媛の名。背後には岩石信仰が。岩や石は永遠を象徴。磐長姫命。大山津見神が献上したが。天皇の寿命が短くなった理由。磐之媛。名は明らかに通じる。色好み論。光源氏の末次花。魂の霊力で。仁徳天皇の磐之媛の役割。醜女であったわけではないが。強い情念の力で守護。万葉集の愛情あふれる4首。
最後に磐之媛皇后の像が如何に形成されたか。様々な形で。積極的関心になったのは養老年間。皇位継承の問題。直木孝次郎氏。磐之媛は藤原氏の出身の皇后の先例となりうる。后となる資格。皇位継承が紛糾した時に天皇になることがある。光明子の場合。聖武天皇の後継者となりうる男の御子がいなかった?基王はすぐに亡くなる。朝霞の御子だけが残される。藤原氏は大きな危機感を。光明子を皇后に。対立したのが長屋王。高市皇子の長子。長屋王の妻は草壁皇子の娘。聖武天皇より優れる。長屋王の追い落としを。長屋王の変。自殺に追い込まれる。729年。天平と改元。元々の令の規定は動かせない。磐之媛を前例に。後続出身でない女性の例は磐之媛にも。宮廷内部で異論反論が多かった証。藤原氏は力ずくで。朝霞の御子は成長してゆく。大友氏などの支持も。阿倍内親王を皇太子に立てる。738年のこと。立太子についても相当の反対が。磐之媛の物語。直木孝次郎の説。養老年間以降クローズアップ。磐之媛の激しい嫉妬ぶりは好ましくなく、愛情ある女性として。激しい嫉妬は愛情の裏返し。磐之媛の像は整合性がある。万葉集の4首があるのはもっと早い時期、持統天皇期に。
雄略天皇について。

 

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