F-nameのブログ

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大阪キタの火災の法的責任についての雑感。

大阪キタのビル火災は世間を震撼させている。30分で火災は鎮圧され焼けた区域もクリニックのフロアの3分の1足らずに過ぎないが、火元は唯一の避難階段のすぐ近くであった。

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今日の昼の段階では、放火の疑いがあるとのこと。クリニックの患者でもあった当人は依然として重体である。現段階では憶測に過ぎないけど、仮に自分も死ぬつもりで油に火をつけると、煙が急速に上がり奥に居る人間はほぼ助からなかったかもしれない。

大規模な建物では2方向避難が大原則とされる。建築基準法では、6階以上の建物では地上につながる階段を2箇所以上設けることが義務付けられている。これは面積の広さや用途にかかわらずである。ただこの規定は1974年の改正による。このビルは改正の4年前に建設されたもので適用はない(遡及適用もない)。消防検査でも法令には違反していないとされている。ビルの管理者も、今回の火災は思いもよらぬことであったようだ。

しかしながら、仮に奥に避難階段があれば、24人も死者は出なかったと考えられる。遺族はやり切れない思いをしているのでは無いか。ビルの管理者に対し訴訟を起こすことになるかもしれない。重苦しい裁判になるだろう。もちろんビルを壊して避難階段を作るのは甚大な費用がかかるのだけど、その点についての過失を問うことは考えられないことでは無い。