「コンプライス」は故人にも求められる。私にも。
------講義録始め-------
1990年代半ばから、世界的にエビデンスベースドメディシン(根拠に基づく医療)の推進が進んでおり、エビデンスベースドナーシングもこれに従っています。従来から科学的根拠に基づいた看護が重要視されてきましたが、エビデンスベースドナーシングにおける根拠は、患者のアウトカムを重視したものです。アウトカムは、患者にとって意味のある結果や健康状態を指し、これを用いることで適切なエビデンスが形成されるとされています。
コンプライアンスは、医師の指示に従う程度を示す用語であり、患者に高いコンプライアンスが求められます。特に慢性疾患では服薬が治療の主要な要素となり、服薬コンプライアンスの重要性が強調されています。アドヒアランスという概念も提唱され、より積極的な医療参加や服薬の主体性を考慮しています。
患者のコンプライアンス向上のためには、患者の理解度や服薬頻度、飲み忘れの傾向などが検討され、アラームや整理などの方法が提案されています。また、行動変容を目指す場合には、行動に焦点を置くことが重要であり、行動変容は治療の修正が可能な点で有利です。
コンプライアンスの研究では、特に単純な飲み忘れの場合が注目されており、意図的な服薬拒否との違いも考慮されています。当事者の主観的な経験や病経験に着目し、服薬の意味付けや理由を理解することが、深い患者理解を可能にする重要な要素とされています。
また、てんかん患者を例に挙げると、薬剤の一定血中濃度維持が発作抑制に有効であり、定期的な服薬が必要です。コンプライアンスの研究では、患者の理解度や服薬頻度、飲み忘れの傾向などが検討され、アラームや整理などの方法が提案されています。治療行動や健康行動の場合は、行動変容を目指すため、行動に焦点を置くことが実用的です。これにより、行動の修正が容易であり、当事者の自尊感情を低下させるリスクも軽減できます。しかし、行動変容がうまくいかない場合、当事者は自己評価を下げるリスクもあるため、個別のアプローチが必要です。
てんかんを持つ人々にとって服薬治療が必要であり、その彼らは発作による日常生活への影響を理解しています。コンプライアンスの研究では、単純な薬の飲み忘れが注目されており、その中で非意図的な場合も考慮されています。同じノンコンプライアンスの中でも、意図的な薬の拒否は限界があり、その背後にある理由や意味を理解することが重要です。このような当事者の経験は、インタビューによって把握され、病経験として捉えられます。