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病気とスティグマ: 隠すべきか公にすべきか(ヘルスリサーチの方法論第4回その5) #放送大学講義録

長期間スティグマを抱えていると疲労が蓄積するのは事実であろう。

 

-------講義録始め--------

 

病気であるということが、病気を持つ当事者にとってどのような影響をもたらすかという研究の一つに、スティグマへの着眼があります。スティグマとは負の落印です。現代においても、天間やエイズ、精神障害などはスティグマを負いやすいため、そうした研究はたくさん行われています。

ゴフマンは、病気であることがある社会にとって好ましくない違いだとして、シグマを負わされた人々が偏見や差別によって対人関係場面で打撃を受けたり、不安定なアイデンティティの形成を余儀なくされる過程について論じています。スティグマには、認知されたスティグマや感じられたスティグマのように当事者の内側の体験で説明されるものや、解雇や不採用のような職業上の差別のような明らかな偏見や差別の2つがあります。スティグマコーピングとしては、病気に対するスティグマを軽減するために、他社に対して病気の説明をし、理解を促し、非常時の対応策を身につけてもらうように教育していくという対処や、もっと理解されやすい、あるいはもっと一般的な別の病名でごまかしたり、全く病気であることを隠してしまうといった対処が明らかにされています。病気であることを隠したり、別の病名でごまかしている場合には、ごまかすための嘘を重ねたり、病気の兆候が明らかにならないように常に警戒が解けないなど、それによる心的な苦痛も抱えていることが多く、認知されたスティグマは患者の日常生活に通じる低音のように影響を与え続けます。