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家族問題への研究アプローチ-質的研究法に焦点をあてて-(家族問題と家族支援第2回)

理論があれば良いけれど、そもそも理論が充分にはないことも少なくない。個人の人生は一回性でもあるし。

 

南山浩二。家族問題への研究アプローチ。質的研究法に焦点を。家族問題研究の方法。質的研究法の課題や意義について。
毎日新聞などで社会調査の結果を。社会の実情について。数字でなく言葉で。インタビュー調査。主に言葉によりまとめられるのを質的研究法。個別性や主観性の側面や変化の過程を。今日の家族研究で採用されることが多い。専門家の中でも高い関心。家族のニーズや自己決定が重要との視点が。人生の経験や思いを把握するのが必要。社会学の関心は社会問題などを記述すること。証拠を集めていくことが重要。一定の方法でデータを集め分析。社会調査法。量的研究法と質的研究法。主として言葉による記述と分析を。あまり定型化されない手段でデータを集める。量的研究法は演繹的方法のことが多い。質的研究法はデータの健闘を通じて一定の理論の形成を。インタビュー調査を例に。認知症の高齢者を介護する家族へのInterview。どのように考えているかを。他の家族にもInterviewすることで共通することやその背景が。語りと解釈の積み重ねで理論が生み出される。これまで述べてきた特徴はあくまで目安。対象となる集団社会の全体的傾向を数量で。質的研究法では事例に重きを置く。今日の社会学の様々な領域で。現代社会は急激に変化している。日々経験している社会現象は当たり前と言えない場合が。新しいのでどのような現象か充分わからないのでデータを収集して理論を構築する。帰納的な方法が適する。
質的研究法の具体的方法。Interview法。聞き取り。予め質問を設定する場合。構造化インタビュー。語られることから何かを発見する。観察。研究の対象となる観察。相互作用や社会的背景を明らかに。完全な観察者として行うことはあまり多くない。研究者が全く関わりを持たないようにする。社会学の場合は記述把握しようとするフィールドに赴く。参与観察。ドキュメント分析。何らかの形の記録を分析する。具体的個人や集団に対して、人間が作った記録を。ドキュメント分析の素材は団体などの記録、blogなど様々。
更に家族研究問題に焦点を。質的研究の意義。家族問題の捉え方の変化について。質的研究法の採用に関連。問題の原因の求め方を基準に。2つの視点。社会学的研究。問題の捉え方の移行。家族には本来の姿があり逸脱があって問題があると。家族病理学。あるべき姿。理想形。近代家族。家族の形成と関係維持の基盤として愛情が。核家族で妻は家事育児を専門にする性別役割分業が。こうした捉え方は一定の家族のあり方からのズレに見出そうとするのは近代家族に問題がないという前提で。近年の家族問題研究で採用されやすい視点。問題があるように見えるが社会変動で家族関係が合わないことを。その兆候。結婚を選択せずシングルに。女性の社会進出。固定的な性別役割分業を越えた夫婦関係も増えている。異性間に当てはまらないものも。家族を営むかどうかの選択。家族の多様化。家族問題とequalとしない。医療や福祉の専門家がクライアントの置かれた状況を。質的研究法と重なる部分が多い。現在家族を巡って未知の現象が。ステップファミリーを例に。血縁関係にない親子関係を含める。子連れの再婚。アメリカでは出現しやすい。目新しくなく社会的に認識。日本社会の場合は研究が始まったばかり。社会の認識も乏しい。日本の事情を踏まえた理解を。一定の家族のあり方を理想像としない。固定的見方をしない。データの集積と検討で一定の理論を構築する。
質的研究法は具体的にどのように?3つの方法の中でインタビュー法を。病の経験など。構造化されたものではなく語りの内容を尊重して加わる。人間や社会を捉える視点としてナラティブへの関心が、医療や福祉の実践にも影響。広義の患者へ拡張。意味世界の理解が。研究の概要や意義。アンサークラインマン。医学医療の発達、生活環境の変化などを背景として疾病構造の変化が。慢性化。狭義の患者でなく固有の人生を送る個人として。慢性疾患の増加。付き合いながら人生を。疾患だけではなく人生との関わりで体験をとらえる。病の体験の語り。障害がある経験。医学の枠組みで説明しきれない。文化的に際立った特徴を帯びる場合に社会的意味を。とりわけ文化的重要性を。スティグマに。元々奴隷や犯罪人であることを示す焼印。カトリック教会ではキリストがつけられた傷や聖痕。コフマンが社会学的概念に。他者により否定的にみなされる属性。HIVや精神病は社会的スティグマが強い。社会的排除の眼差しが。病の個人的意味にも基づく。個人の生活や人生の体験との相互関係で独特の意味を。個人は多様な人生の出来事を。その関わりで独特の意味を。曖昧な喪失研究。失われていたのか未だに失われていないのが不鮮明。身体的には不在であるが精神的に存在している。身体的には存在しているが精神的に不存在。行方不明兵士。移民。後者の具体例。慢性精神病など。認知症を巡る議論。ボス。認知症の家族は曖昧な喪失を。過去の記憶が奪われ病期の進行の度合いで人柄が変わることも。確かに愛する人はいるがかつてのあの人ではない。心理的に不在。ケアにあたる家族は多大なるストレスを。ナラティブに耳を傾ける重要性。曖昧な喪失の物語を聞かなければならない。苦しみの原因の手がかりが。
病の体験を聞き取る具体的な。インタビュー調査での留意点。充分な説明と同意。意向の尊重。データの取り扱い方など充分な説明と同意を。対象者がインタビューを中止することが出来ることも。調査の遂行を円滑なものとして充実したデータが。ラポール、信頼関係の形成。倫理的配慮の問題。調査者が集団の人間関係に立ち入る。福祉医療サービスを現に受けている高齢者。様々な生活の困難を抱える人を対象に。調査を行うことからの影響を考える必要あり。病の体験の語りを。誘う問いかけ。これまでのご経験について。場合によってはトピックを限定したり具体化したりするインタビューの進行を。比較的緩やかにインタビューを。対象者は一定の疾患を抱えていて困難を抱えている。苦痛に満ちたことが多く抵抗感も。病の体験は事前に整理され言語化されていないのでゆっくりと紡ぎ出される。語る瞬間を焦らずじっくり待つ。尊重することでもある。会話しているとき相手の内容を先取りしながらすることがある、聞き手による先取り。理論に従い解釈する状況に陥っている。こうに違いない。避けるためにはあくまで教えてもらう位置に立つこと。無知の姿勢。セラピストの態度として。セラピストの好奇心が伝わってくるような。既成の枠組みを携えてではなく教えてもらう。自由に会話が展開しやすくなる。体験に学びたいという姿勢が。インタビューというやりとりから病の体験が誘発され紡ぎ出される。事前に何も知らなくても良いわけではなく、病気や福祉の知識は必要。既に語られたことも参考にして的確な問いを。
ゲストとして。ネットワーク医療と人権。NPO法人。薬害エイズ。HIV感染問題。被害者グループの呼びかけで再発防止などを。主な活動。薬害の再発防止。メカニズムの解明。提言、法律の改正や行政への意見。人権問題。イベントや講師の派遣。感染症全般の差別を是正。委託事業として被害者の方々への相談事業や相談会。情報提供や助言を。カウンセリング。人権と薬事行政などのイベントを。薬害エイズ事件。血友病。日本で80年代前後に血液製剤が。一般的に輸血については献血を。それを元にした血液製剤。9割をアメリカから輸入。製造の過程でウイルスが感染力を保持。一部の血液製剤をつかっていたのは血友病の。当時の5000人のうち40%が。全体の半数の被害者が亡くなっている。血液製剤により大きな被害が。啓発活動や行政への働きかけや相談事業。調査研究も。薬害エイズ事件という表現はしないが血液製剤による事件は世界で起こっている。フランスやアメリカ。血液供給の脆弱性。日本においては刑事裁判にもなり社会的スキャンダルとして。原因を調べることをしなかった。裁判は必要なので加害者を糾弾して被害者を守ると。客観的な調査とは距離がある。運動的アジテーション的な。それでは再発防止は難しい。国は裁判所に資料を持っていかれたと。自ら組織を作り原因を調査。専門家にも協力してもらい学際的に。社会学や医学の専門家で専門チームを。薬害エイズ事件の真相の究明。再発防止に寄与するのが目的。当事者の集団は患者集団で闘病中だったり、それぞれの人生があり薬害被害に回収されると人生が軽くなる。ひとりひとりの人生を。客観性とともに主観性から立ち上がるものを。
家族問題に接近する方法としての質的研究法。家族の個人化多様化という現象を家族危機と直結させるのではなく。楽観視するのではなく行為の意味や相互作用から。他方でこの方法の採用で留意点も。

 

家族問題と家族支援 (放送大学教材)

家族問題と家族支援 (放送大学教材)

  • 作者:下夷 美幸
  • 発売日: 2020/02/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)