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エミュレーションと技術覇権の真実 (知財制度論第3回その6) #放送大学講義録

何事も人の真似から始まるのかもしれない。しかし真似された方は面白くはないのもまた一面である。

 

------講義録始め-------

 

第1の視点がエミュレーションです。例えば、英国で発展した科学技術を他の国、例えば日本や中国、韓国が模倣するといったケースを考えてみましょう。技術覇権を持たない国は、それを持っている国の科学技術を競争的に模倣するというモデルが提供されています。
これがエミュレーションです。かつての英国と米国との関係、および米国と日本、中国、韓国との関係のように、複製可能技術の開発により模倣されていくケースです。
それは歴史的技術を検証していると言えるでしょう。いわゆる基礎技術のただ乗り論です。
日米貿易摩擦において我が国に対し批判が加えられ、今日、米中貿易摩擦で中国に対して言われる問題は、上のモデルに当てはめると技術史の文脈から理解することができると思います。
米国が知的財産権侵害や技術の非許諾使用に関して問題を引き起こしています。
テクノヘゲモニーを持っている米国の観点から捉えると、技術的優位にあるコンピュータープログラムや半導体のエミュレーションに対する権利要求であり、以前プログラムの保護が議論された時の特許権よりも保護期間の長い著作権で保護しようとしているケースがそれに当たります。
さらに、技術標準問題は技術覇権の典型例と言えるでしょう。