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わかる文章とは?(日本語アカデミックライティング第2回)

文章読本を読んでみたくなったが、うまい文章は書けても、分かりやすい文章を書く役には立たないかも。

 

説明する、が主題。
前回のおさらい。何の為に書くか。ある問題についての自分なりの答えを。論文というのは他人に読んでもらう為に書く。解明したい問題があるから論文を書く。では何が問題なのかを立てて書く。独りよがりではなく、それまでにどのような研究が為されたのかを勉強する。何が何処まで知られているのか。しないで書くと、とっくに言われてるよ、となる。読者を想定して対話をするみたいに展開する。自分の言いたいことをどれだけ分かってもらえるか。いたずらに共感を求めるのではなく。
文章には種類がある。自分の考えに強く共感してもらいたい文章と、誰にも同じ内容を分かってもらいたい文章と。アカデミックな学術的な文章というのは後者。共感よりも理解を。何が必要か。この授業が目標としないことに焦点を。
上手い文章と分かる文章。対比。名随筆。エッセイ。うまい文章。極意を。「文章読本」。谷崎潤一郎や丸谷才一、川端康成や三島由紀夫。良い文章については色々な作家が書いている。文学畑の人、功ある人間がおだてられて書いている。優れた文学者には学ぶところがある。しかし目指すところではない。アカデミック・ライティングには繋がっていかない。川端康成の文章は流石に上手い。夏目漱石も。言葉の使い方が。普通の人間なので、学問的に文章を書くのにはお手本にならない。谷崎潤一郎の「文章読本」。実用的と芸術的の区別はない。最も実用的な文章がうまい文章。けれど谷崎自身は実用的と芸術的の区別をしていない?斎藤美奈子「文章読本さんえ」。面白い。上手な文章を目指せ、という呪縛から逃れるべき。文章は人に指図されるものではないと、有名な作家をバッサバッサと斬る。谷崎潤一郎はナチュラル派。芸術的で技巧的な文章を評価する。学者であるとか新聞記者も文章読本的な。実用的でsimpleな文章。対比。目指したい文章は実用的でsimpleな。イギリスで学位。文章の書き方についてもアドバイス。下手くそな文章と分かる文章。いい文章を書くとはの助言。辞書を沢山引く。ガウアース。19世紀の最後に産まれた。完全な平易な言葉。逆に酷い英語を持って回って専門用語をたくさん使う、市民を惑わす為?徹底的に批判する。ペーパーバックで。相手に伝える為に平易な言葉を使う。アカデミックな論文というのは得てして専門用語があふれる。読む人間にとっては苦痛。simpleでわかりやすく。
上手い文章の特徴を。そうでないのが分かる文章。名エッセイ。余韻や含蓄。行間を読む。余韻や含蓄とは?余っていたり含みとされている。物事を説明しきっていない。読者が想像する余地を。詩のような韻文。説明しきっていない。和歌や俳句。読者の想像力が決め手に。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」。松尾芭蕉。山形県の山寺。imageを思い描く。蝉の声や閑さとはどういう関係が?それが解釈。静かだから蝉の声が聞こえる?詩や俳句和歌。何処かに飛躍がある。西脇順三郎。詩の一番重要なことは、遠いことの連結。詩的な感情が描かれる。俳句として考えれば素晴らしいけれど、アカデミックな論文に使えるのか?文学が悪い訳ではないが、上手いというのは遠いもの、関係のないものが結びつくのが面白く解釈出来るもの。反対のものが。分かりやすさという点では、読者にだいぶ負荷をかけている。余韻や含蓄。どの石が何を伝えているか?読み手の解釈。自分で何かを思い浮かべ解釈を楽しむ。文学作品の味わい方。上手い文章というのは書かれていないことを雄弁に伝える。想像したくなってしまう文章。一方の分かる文章とは?起こらないことを前提にして書く。事柄をきちんと説明しきっている文章。解釈の負担をかけない。味気ない?味気なくても良い。美味しい調味料は無くても良い。在る問題について自分が考えたことをそのまま理解して欲しい。読み手によって解釈が多様だと困ってしまう。同じ理解に達して欲しい。見解の相違はあるだろうけれど。でないと先に進めない。余韻と含蓄は不要、行間を読ませるのも不味い。論文は理想的には、読んで議論して欲しい。論理的な文章から生まれてくる?問題が発展する。読まれて議論するのが大前提。議論の流れを追うことが出来る。
起承転結というスタイル。忘れてください。抵抗が強い考え。ずっとお手本と思っていた人が。文章を意識している人ほど酷いと思ってしまう。分かる文章には合わない。タイプの違い。上手い文章なら使えば良いが。アカデミックな文章を書く時に自覚的に応用しようとは考えない。論文のスタイルがある。論文自体の仕組みが構想が、起承転結というのを思い浮かべると、、、整っているのは起承転結がある?最初に話が始まり、受けることがあって、転換して、1つに収める。起承転結とは?古典の中国語。詩の作法、漢詩の作法。五四二十。四つの要素。日本的にもなった。4コマ漫画。新聞に連載。どれも起承転結の構造で作られている。1コマ目。場面設定。何かの要素が展開する。3コマ目。場面が全く違ってしまう。読者はおや、と思う。4コマ目がオチ。1つの受け皿で、なるほど、と思わせる。4コマ漫画を書くというのは起承転結で書いている。鍵は3コマ目。「転」。オヤ、と思わせる謎掛けが。4コマ目でまとめる。意外性があるほど上手い。飛躍が大きいほど、波瀾万丈みたいなことになる。物語の構造。魔法の力を持ったお姫様。コントロールができない。大人になって女王になる。愛する妹が結婚すると連れてきた男性が気に入らないので魔法を使ってしまう。国が混乱する。魔法を解くには何が必要か?真の愛。全てをもとに戻して平和になる。物語の構造。よくあるもの。色々転換が可能。大団円に。転で文字通り話が転じる。物語なら波瀾万丈が謎解きもあって良いけれど、繋いでいって何かを論じると論理展開が波瀾万丈になってしまう。おや、と思ってしまうと困る。なるほど、と思い続けて欲しい。論理みたいなものと関連。転、は外から持ち込まれる。正しさが証明できない。書き手が読者を誘っている。論理の文章ではなく雄弁術的なスタイルと言うべき。論理の文章には起承転結は向かない。新聞の1面のコラム。起承転結で書かれていることが多い。共感を求める。長いものから短いものまで。起承転結はアチコチにある。それしかないのではない。
分かる文章で何をしたいのか。感動を目標とはしない。誰が読んでも同じ結論に達することを目標。独りよがりにならない。自分の書いていることが想定読者に理解してもらえるか。相手のことを考える想像力。分かる文章の方でも想像力を。分かる文章は書き手の方が色々と対話しながら考える。自分の家の場所を説明する。読み手に対する想像力。誰に説明をしたいか。相手が仕事で関係のある人には?何々駅。世間話だけなら何とかっていう駅から徒歩10分のようなもので済む。同じ地域の人、目印になるものが相手にも分かってもらえると確認しながら話す。相手にも色々。来たばかりの留学生に対してなど。知識が少ないので細かい話をしても無駄。今居る場所から1時間くらいかかる、など。40キロ離れた、など。正しい説明。唯一正しい?正しいと分かりやすいとは次元が違う。相手と何を共有しているのか?誰に向かって書くのか。学問共同体の中で。全くそうでない読書についてか?知識の有無。闇雲に書けば良いのではない。

 

日本語アカデミックライティング (放送大学教材)

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