F-nameのブログ

はてなダイアリーから移行し、更に独自ドメイン化しました。

子どもの学習メカニズムと授業(カリキュラムと学習過程第5回)

単なる知識の切り売りで終えることが出来ないからこそ、教えることは難しいのだろうと思う。

 

奈須正裕。子どもの学習メカニズムと授業。授業づくりの基盤となる子どもの学習メカニズム。認知心理学の知見を。無理なく楽しく確実に知識の習得を。人間の情報処理機構。知識の貯蔵のされ方。
人間の情報処理機能と意味の発生。人間の情報処理機構。情報処理の際に用いるハードウェア。短期記憶と長期記憶。外界の情報は短期記憶に入り処理される。7桁なら何とか覚えられるが、20桁は無理。人間が一度に処理できる情報量は5から9単位。先程の電話番号を通話後は覚えていない。短期記憶は15秒から30秒で減衰。しかし何処か変。一週間前でも覚えている。短期記憶から長期記憶になっている。規模は大きく実用上は無尽蔵。長く保持される。記憶痕跡は劣化する?一生消えないという説も。引き出せなくなるだけ。検索できないだけで。人間の記憶は短期記憶と長期記憶の2つから。必要なものが長期記憶に送られ貯蔵。習得とは短期記憶を長期記憶にすること。コンピュータに似ている。短期記憶をメモリーボード、長期記憶をハードディスク。引き出して使えるように。書庫や作業机に例えると。人間とコンピュータは似ている。コンピュータは人工知能。コンピュータならデータのやり取りはマウスで実行される。長期記憶を創るのにも思い出すにも日々苦労している。知識の獲得も想起も丸暗記は虚しい。楽しく意味のあるものにするには?興味や関心の働き。さしたる苦労もなく覚えられる。興味関心に即した教材に。楽に覚えられるのは意味があるから。丸暗記は頭に叩き込むので自然の摂理に反する。本来的に意味の発生は難しい学習。Appleとりんご。語呂合わせも同様。涙ぐましい努力をして意味らしきものを。意味とは?見え方が変わる図形。奇妙だと覚えられない。何かで図形の下半分を隠すと?現れたのはMirrorという英単語。意味の感じられないものではない。最初にこの図形を見ている時は短期記憶だけで。嫌な感覚が。授業が皆目分からない児童の体験。授業内容も奇妙な図形のように。長期記憶内のMirrorという英単語を引っ張り込み関連付けることで意味の生成に成功。いきなり分かったと叫ぶとき。長期記憶内の既有知識と。理解できると覚えられる。短期記憶に飛び込む新しい情報と長期記憶を。Mirrorの知識が必要。基礎基本の充実はさらなる習得を。その場に適切なものを短期記憶に引っ張り込む。活用出来ないことも。知識の量は十分条件ではない。縦横無尽に活用できるように。活用という概念。平成19年に全国学力学習状況テストを開始。主として知識を問うA問題と活用を問うB問題が。質が検討される。6年生算数の。平方四辺形。A問題は90%。B問題は18%。学力低下を危惧する声がありドリル学習の流行が。学力問題は基礎記憶の習得より活用の脆弱性が。昭和の頃から生きて働かない学力。根深い問題。平成のゆとりと充実の教育は改革的動き。意図が充分に理解されず改革は後退。
インフォーマルな知識を生かした学習づくり。既有知識との。オースベルは有意味学習と機械的学習。既有知識にはフォーマルな知識も含まれるが、更に膨大な知識を獲得。インフォーマルな知識。B問題の不振は断絶。記号操作としてしか学んでいない?チューリップも種子植物だから種はできる。種子植物は習ったはず。フォーマルな知識とインフォーマルな知識との断絶。充分に活用が為されず。チューリップにも種ができるならなぜ球根を植える?球根について。クローン。土に植えるから子どもであるとは言えない。種の発芽率が低く何年もかかる。園芸上の都合では庭造りで同色の花を。有性生殖や種は不都合。咲く花の色を正確に予測できるように。種ができるのは多様な遺伝性質を。疑問も湧き上がる。種以外の増やし方なら他の方法は?効率よく増やすために。活用の効くものにするにはフォーマルな知識とインフォーマルな知識が緊密に結びつくように。関連付けて学ぶという高度な学習は比較的年齢の高い子供だからこそ可能?低学年では無理?そんなことはない。小学校1年の国語の教材にたぬきの自転車。口にくわえて自転車に乗る。初めてこの話と出会う。わからない言葉は?「車輪」。タイヤでしょ?頑として受け付けない。補助輪のことを車輪と。自信満々。本当は車輪がついていると。どうして絵には無くても本当は小さい車輪があると思うの?赤い自転車を買ってもらったので車輪がついている。今は車輪がついていないと。大切なことが。女の子はかつての経験になぞらえて読み込んでいた。高揚感や一生懸命練習して乗れるようになった。痛い経験なども思い出すと共に誇らしく嬉しく。たぬきの自転車を自分にひきつけて自分ごととして学んでいる。成長を誇らしく。感謝の気持ちも。自分自身を見つめ生き方を深めている。と同時に。国語科の教科内容も実現。長い夢が叶って、という叙述でありありと思い浮かべる。叙述から初めて買ってもらったという境遇を読み取る。たぬきの心情を読み取る。子どもはどんな教材でも肉薄して学ぶ。教科的な学びと自己実現としての生き方を。幼稚園や保育園でこそ日常的に見いだせる。自分ごとの学びを。高度なことではなくごく自然に。むしろ伝統的な学校の学びが断ち切ってきた?どんどん乖離する傾向があるという仮設も成り立ちうる。繰り返し子ども本来の学びのメカニズムを問うことを。
知識はどのような形で長期記憶に貯蔵されるか。知識の貯蔵のされ方。宣言的知識と手続き的知識。事実に関する。経験に関する。運動機能や認知機能。構造は異なる。宣言的知識はスキーマというネットワーク構造を。鳥を中心にした動物にまつわる宣言的知識。ノードが概念。鳥や羽やカナリアなど。ノードは個々バラバラに詰め込まれているのではなくリンクにより複雑に結びつく形で。ネットワーク構造にならないと記憶は出来ない。幼い子供は空を飛ぶとできるというノード。同化。知識の量を増やす。ペンギンも鳥であることを知ったり、コウモリが哺乳類であることを知り驚く。同化が出来ないから。突き動かされる形で構造が修正。調節。鳥を正確に。卵を産むことと羽があるから。自分を取り巻く世界と辻褄が合うように洗練させる。学習とは貯蔵されている長期記憶を。知識を教える学ぶ。コップに水を入れたり白紙の紙に書く?持っている既有知識の構造を足場にしてしか出来ない。教える内容に付きどういうスキームを持っているか。新たにノードを追加しリンクの修正を。どんな順序でどんな教材で。手続き的知識。一般に技能と。習うより慣れろ。体で覚える。習得されるものが知識だとすると違和感を?意識化や言語化が困難で間違えたり。自動化されている。体育で制御して一つ一つ分けて覚える。手続き的知識。IfThenの関係。2桁の引き算の。小学校低学年の知識でも複雑な分岐を繰り返す。たった1行でも誤りがあるとエラーが。全く理解できていないのではなく、ほんの少しが違っていただけのことも。誤りのパターンを分析すれば理詰めで明らかになるのでピンポイントで修正。筆算の引き算の手続バグ。4つ。一の位の計算が小さい数から大きな数を。十の位から借りることは出来ているが、十の位を減らすのを忘れている。問題により正答できる場合があるので、練習を指導することをしがち。手続バグに応じて組織的に間違ってしまう。エラーが発生する度に放置させるのは間違ったフォームで指導するようなもので重篤になる。手続バグに関する知識を適切に。しかしそれで十分であるわけではない。2桁の引き算で誤りを繰り返す。早速間違い方の分析を。借りてきたのを忘れる間違いを。担任は指摘して個別指導をする。しばらくの間は正答するが、また間違えてしまう。先と同様の指導を繰り返すが同じ。よくよく目を見ると説明に納得できていない様子。ふと異なる出来事が起こっているのではと。スッキリしていないことがあるの?借りてきたものを返さなくて良いのですか?借りてきて済ませた後にもう一度十の位に返していた。誰よりもしっかりと覚える。社会科や道徳なら返さなければならない。借りている、という言葉を明示的に教えたことは一度もない。別の文脈では返したりするのではないか?指導の方針を変えて。借りるのを止めてプレゼントを。10倍持っているのでプレゼントを。気前が良い。プレゼントなら返さなくても良い。以来、二度と間違えなかった。科学研究の知見を合理的対応の目印を。しかし楽観視も出来ない。全ての油断を捨てて子どもを見つめて。科学知見を身に着けて高度な対応を必要な子どもの気づきを。

 

カリキュラムと学習過程 (放送大学教材)

カリキュラムと学習過程 (放送大学教材)

  • 作者:浅沼 茂,奈須 正裕
  • 出版社/メーカー: 放送大学教育振興会
  • 発売日: 2016/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む

  • 作者:ポール・タフ
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2017/09/06
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

「資質・能力」と学びのメカニズム

「資質・能力」と学びのメカニズム

  • 作者:奈須正裕
  • 出版社/メーカー: 東洋館出版社
  • 発売日: 2018/06/25
  • メディア: Kindle版
 

 

 

次代の学びを創る知恵とワザ

次代の学びを創る知恵とワザ

  • 作者:奈須 正裕
  • 出版社/メーカー: ぎょうせい
  • 発売日: 2020/02/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

「資質・能力」と学びのメカニズム

「資質・能力」と学びのメカニズム

  • 作者:奈須 正裕
  • 出版社/メーカー: 東洋館出版社
  • 発売日: 2017/05/29
  • メディア: 単行本