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公共政策と統計 -証拠に基づく政策をめぐって(公共政策第10回)

そもそも公的統計に改竄があるのではないかと言われている。継続性が無くなるのは致命的だと思う。

 

砂原庸介。公共政策と統計。統計は公共政策の前提。欠かすことは出来ない。何故必要かを議論する前提に。道路を作ろう、社会福祉のサービスを。人が居ないと意味がない。どういったニーズが必要なのかを調査して将来の予測をして政策を立案実行。証拠に基づく政策。直感だったり人脈だったりすると批判が。民主主義の元では正当化しづらい。政治家が議論をするのが重要。統計が政府のエリート以外にも開かれる。統計にアクセスすることで議論ができる。代替策を。統計をどのように。政府その他の機関が。調査統計。経費をかけて統計を作成。お金がかかる。国勢調査が代表例。全数調査。全ての調査がそうではない。多くは一部を標本として取って調査を。費用は格段に安くなる。標本調査。政府が直接調査をするのではなく。業務統計。人口動態調査。出産などのデータを元に。移動の統計を。住民基本台帳を元に。政府の仕事の一環として。重要な統計として政策決定の前提に。そもそもは統治の道具でもあった。国家が関心を持っていたのは人口。センサス。監視することと同じ語源。管理する政府に重要な情報。政府が作成する統計は政府内だけでなく一般人にとり重要。客観的数値として。民族で分けたり職業で分けたり。カテゴリーは必ずしも明確ではないが、発表することが社会的意味を持つ。統計を発表するために多額の費用が。強い信頼が付与。独自に意味を持つように。社会に欠かせないGDP。四半期の伸び率に大きな影響を。株価にも。発表する統計数値が重要。
どのように統計を収集するか。最初から出来たわけではない。宗教組織が手助けを。キリスト教教会。日本でも宗門人別表が。寺社を元にして統計として整備。宗教組織が統計を作成していたが近代化とともに政府が。官僚制を使い。統計部局の専門化。統計学の発展とともにどのように統計を取り利用するのかについての知見が広がる。それは政策決定の部局が持つとは限らず。専門の部局が必要。質の高い統計にできる可能性があるが。担当部局にとり必要でニュアンスが専門家に伝わっているわけではない。統計の業務のうち7割が農業関係。高度成長期の後公務員の数に歯止めがかかると、サービス業などの人口は増えない。省庁を超えた再配置は進まない。どうやって統計を取るのかの発想に乏しい。労働や雇用について。総務省の労働力調査。どのような労働の提供か。厚労省は賃金に着目。
統計として何を測っているか。初期の関心は人口。難しい。移動するから。静態と動態。国勢調査は静態。国民全体を調べる。動態調査も。人口動態調査。出入国管理統計。あくまでも複数の統計について。労働力や家計などが。複数の統計を利用しながら測っていく。標本調査。産業という観点からも。農林業については膨大。サービス業のような産業には弱いと言われる。09年からは経済センサスが発足。包括的に経済の状態を測る。統合は困難だが07年に司令塔ができる。00年代には統計制度を改革することで統計制度改革が。同時に公務員改革が。農業統計部門の職員の削減が検討されたが、人を増やすことは難しくなった。統計委員会が設置されたが必要な職員が増えたわけではない。制度改革は重要だが財政危機に直面していて人を増やせないジレンマが。
統計を創るときは統計や業務から。それだけで全て測れるわけではない。統計の加工。国民経済計算。幾つかの統計を重ね合わせて何とか測ろうとする。日本独自ではなく、国際連合が決めていて他の国も参照している。複数の国の比較ができる。国民経済計算という統一的な方法を使うことで比較ができる。弱点もある。報酬が支払われないものをなかなか測ることが出来ない。専業主婦の家事サービス。保育所に預けるとなると、1日8万円で月10万円に。国民経済計算では賃金が伴わない労働は全く評価されない。報酬のない仕事には重要なものが多いが省かれる。国際連合も含め議論しているが。帰属家賃。仮想的な家賃。持ち家に住んでいるが仮に家賃を払うとしたらいくらか。国民経済計算には反映されない。人々にアンケートのようなことをする。意識調査や世論調査。非常に難しい。何回も繰り返すなら比較もできるが、単発なものも少なくない。加工統計に代表される統計は精緻なもの。統計の質が問題に。本当に社会の状況を表すのか、全てが正しいわけではない。質の高い統計には?訓練を受けた調査員が実施する。勝手に数字を作るケースもある。調査統計だけが問題ではない。業務統計でも。職員がきちんと仕事をしていない場合は。望ましくないデータを。より良い結果を創るほうが評価につながる。担当となる職員は分からなくても作ってしまう。特に発展途上国で。アフリカの国には援助を受けているにも関わらず職員の質が低いので全く違う数値が。先進国の方が深刻。日本の場合は地方交付税交付金の額に影響が。自治体が異なるデータを出すケースも。人口5万人で「市」に。国勢調査を改竄する町村も。嘘のデータを出す動機づけがあるのは問題。データを歪める可能性が。職員の能力が無い問題。意識調査のような場合にどのように測るか分からずに実施するデータも。職員が恣意的に。有害とすら言える。
統計というものはどのように変わるか。社会の変化。少しずつ調査が難しくなっている。調査忌避。調査をされる対象となる人が嫌がる。最近ではオートロックのマンションが。極めて困難に。調査の困難は国勢調査の回収率低下に。95年までは1%未満。しかし非常に大きい。15年には国勢調査にインターネット調査が。より詳細な項目が入る調査は難しくなる。家計調査。半年間にわたり家計簿をつけるのは面倒くさい、他の人に情報が流れる。協力してくれる家計だけが標本に。協力してくれない属性が省かれて、本来より良い数値になる可能性がある。協力した家計が比較的裕福であったり。厳しくなる統計調査を新しいものに。しかし統計の継続性も重要。同じデータを取り続けることに意味があるので変えるのは非常にもったいない。農産業関係の統計。継続している膨大なデータはある。業務統計を見直す取り組み。ビッグデータ。人々がリアルタイムで自分の情報を更新するのを。ICカードの交通履歴。SNSのつぶやきなどをデータに。統一した理論に因るのではなく、データの傾向を読み取る。データマイニング。人々のニーズを読み取り政策決定に。データマイニングの中ではアマゾン・ドット・コムのおすすめ商品。似たような人が何を買っているかを予測し顧客に提示。自分の欲望に改めて気づいて購入に。最近では買われていないものでも購買者の近くに商品を。ビッグデータの利用は民間企業で先に進んでいる。国家が持つ行政の記録は全数調査であるから整えることでデータを読み取ることが出来れば有望。医療の情報。どのような治療方法が効果があるかを分析。医療機関の不正を見抜くにも活用。これまでは監査という方法をとっていた。幾つかのサンプルを抽出して。全てのデータをそのまま調査しているわけではない。ビッグデータではすべてを見て怪しげなデータを抽出できる。問題は人材。ビッグデータを活用できる人材の養成の仕組みがない。政府の中でのステップアップも課題。どのようにデータマイニングができる人間を集めるか。民間企業によるビッグデータの活用。個人情報保護。個人のデータが大量に蓄積されることで先の行動を予測できる。それは個人にとり脅威に。医療情報の漏洩も深刻。プライバシー情報が他者に渡るのは問題。きちんと情報管理をすることが求められる。名前を隠し匿名化するだけでは個人情報保護にならない。個人と履歴は結びつくことはあるから、行動履歴それ自体が問題に。誰か予測ができるので深刻。政府がどのように扱うか。犯罪に関する情報。防犯カメラ。それと顔認証の技術や個人の特定化。監視社会に。
政府でない一企業が多くの情報を所有。消費者側から企業に対し大量のデータが勝手に送られる事態に。企業も政府自身も個人情報を適切に扱っているかにつき第三者の監査を受ける必要がある。消去されているかを確認。個人の人権の侵害を抑えて適切に統計利用を。従来はあくまで集団が対象。最近のビッグデータなどはどちらかと言えば個人を対象に。対象は個人に変わりうる。
国家は情報を収集して統計を作成する権限を独占してきたが、調査が困難になり情報の蓄積が。多くの企業でも個人の将来を左右できる情報を持つ。人々を管理するだけでなく過剰に情報が流出する歯止めもかけなければならない。今までと大きく変わりつつある。

 

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