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排除の地理学 ~貧者の生活世界~(人間にとって貧困とは何か第5回)

そもそも生活保護の捕捉率が話しにならないほど低いのが問題ではないかと思うが、まともに認定したのでは財政が持たないと無意識に考えているのかもしれない。

 

西澤晃彦。排除の地理学。貧者の生活世界。考現学の始祖。今和次郎。かつての東京の風俗。時代の現在的な生活文化。東京の風俗の成り立ち。空間的要因を。20年代の銀座や深川での通行人調査。新中間層の盛り場。銀座。庶民には近寄りがたい。隅田川を越えた深川。紳士淑女に縁はなかった地域。階級階層による生活圏の分化と相互隔離。それぞれの空間で固有の風俗が発達。人間は身体から解放されないので何処かに場所を占めて場所に規定される。貧困体験も身を置いてきた場所により彩られる。近代化の帰結としての生活圏の地理的な。生活様式に。貧困と空間を論じる。
身体の場所にとらわれるとは言え、近代化は場所地域からの解放でもあった。かつては人々の生活は地域で。それより広いのはせいぜい藩のレベル。近代に入っての人々の生活の変化、人と場所との関わりを変える。身分制の崩壊と都市への人口移動。マスメディアの登場など、動きの一つ一つが場所から遊離させる。徴兵制。国土という国民の空間へ再定着。近代国民国家の国家。ローカルに代わりナショナルなアイデンティティを。にもかかわらず、支配的秩序は定住を是とするもの。近代化の過程においては組織に属すること、定住することのために人生を捧げること。未来にある文明につながる。その道からの逸脱者は排除されてしかるべき存在。バウマン。近代国民国家においては大地から流動化する一方で組織に入らない遊牧民的な人間を二次的に。流動者が排除され垂直的に分断される体制。もちろんこの二級市民は、社会的に排除された存在は資本主義にとり労働力として有用であり必要。低賃金の労働力は資本蓄積の源泉。市場が成長することを考えれば望ましいはずだが、自社の社員が定着して労働者が金のかかる存在になるのは痛い。この矛盾を解決。一定のカテゴリーが便利として。豊かな市民に対して。低賃金と解雇の容易さ。二級市民の存在は有用。資本主義は原理的にはどれだけその人がカネになるか、平等主義的?資本主義は歴史的事実として差別主義的。差別排除を温存強化して新しい差別を。二給市民への差別を、多数派が当然のように容認。女性がその分かりやすい例。近代化初期の東京。都市下層は国民国家に統合され難い。明治期に形成。10年台を画期として組織への定着と定住化。下層をも含め広範な人たちが文明への接近。国民化。同時に近代的国民の外部に二級化された人々。売春婦など遊牧民的な。新しい都市下層は非定住的な。質的に異なるものとして再編。このカテゴリーは外部化され隠蔽される。戦後においても継続。運用上の慣行。憲法25条は?福祉制度が人を区別する。福祉政策は駐留階層に焦点を置いたものにシフト。社会的なもの。定住化された国民が基準に。帰属証明が要求され無いと制度から排除。浮浪者は生活保護の対象にならない。制度的であり社会的。組織化された定住家族は自明なものとして定着。福祉国家の前提。36年の東京府社会課の報告書。朝鮮人は戸籍においてその出自が記しつけられ把握されていた。東京在住の朝鮮人は朝鮮の農村の疲弊から。解雇され東京に流入。職業的には土木建築業が4割を。都市雑業が1割。最下層。朝鮮人の居住地は深川区本所区荒川区などの都心の外側に集中。借屋か掘っ立て小屋に。非家族的空間。地理的分布。都市下層の住まう領域。大阪。玉井金吾。第一次世界大戦後にアジア市場への輸出。アジア最大の商工業都市に大阪が。当時の都市労働力市場はスラム労働市場。一般労働市場との二重構造。並行的に発達。特有の文化を、賃金水準。明らかに区別されるスラム生活圏を。賃金はスラム的水準を前提にしたもの。被差別部落や朝鮮人部落を中心に。寄せ場として出自が分からない地域も。一般労働力市場とは別に2級化。大都市の権益は拡大。都心の再開発で下層の集住地区は分散され埋め込まれる。大阪のスラム生活圏。東京の朝鮮人居住地。貧困の空間的な。マジョリティから貧困は見えづらく。貧者の生活圏の。非組織的。周縁的労働市場で。労働条件が列圧。非定住的。都市の周縁部やインナーシティ。飯場のような収容施設。隔離地区。飛び地などマジョリティが浸透しづらい。非家族的。単身。住居では一緒に住むのが難しく。家族として定着しうる生活は難しい。非組織非定住。否定的烙印を付与。下層化した人を封じ込める。生活圏の限定性と流動性。大都市の都心郊外には中間的な。混在地域。産業化により活発化した地方からの若年労働者が流入。親分子分関係。親方子方関係。独り立ちするまでの技量を。賃金を保障出来ない親方は子方を食わせる。家のような共同体。温情主義は封建主義的と批判。賃金水準の低さを覆い隠す。産業化が進んだ現在は職業的な訓練がなされて自営を。地域社会に定着して町内会で役員に。失敗した人は周縁部に。親方子方関係は個人間の関係で儚さを伴う都市的な関係。若者たちは良い親方に出会うまで転職を。現時点では親方子方関係は過去になりつつある。社会的メカニズムがあって合理性とは異質な義理人情。社会的包摂がなされていた。古いものの機能を補う何かを求める必要が。製造業の衰退、工場の流出で再開発を。貧困を見て取るのは難しい。
大都市の貧困。近代化の帰結として階層的な生活様式。別の見取り図。中央地方の関係を中心周辺関係として。進んだ中央から遅れた場所と。格差が遅れと直線的な時間の感覚。近代に入り国民社会になり格差は見えるように。中央と同様の豊かさが?格差が遅れとして認識される。漢字の国への移行。違いでなく遅れ。文明の普及が期待できる。周辺の期待。地方の政治も開発主義的政府に追随し保守化。遅れにしびれを切らして都市に人口が。大規模な人口移動。殖産政策。古前忠雄。国家的な産業政策でオモテとウラ。大量の人口が移動。オモテへの投資と地場産業の相対的没落。8割が地租。地方も膨大な負担。農家の疲弊。裏日本という認識が作られる。20世紀を通じて大都市圏は人口を3倍以上に。裏日本は横ばい。自然増加分をオモテに吸収される。東北から大都市圏への人口移動は戦後になって。東北は50年代初頭までは労働市場と関係を持たない取り残された。出稼ぎの斡旋事業など。安価な労働力を掘り起こす。東京と東北との関係。産業都市の周縁労働力に。東北の人口も裏日本と似通う。戦後の自然増加分が都会に。移住労働力移動。労働力コストの削減は資本の源泉。労働力コストを削減。労働力の調達先を広域化。地方に海外に労働力を求めて。工場を地域や海外に。排除された二級市民の利用を。送り出し地域においては余剰人口が。天災が生じても。そもそも人は容易には移住しない。移住が促される条件。移動によるリスクが低減され安心感を持つ仕組みが。事実として裏切られるが。インフォーマルには親族の。送り出し側とチェーンマイグレーション。大都市部には沖縄出身が多い地域が。メカニズムが働いて街が。出稼ぎや集団就職。広域的な職業案内。出稼ぎのルートが出来て職安が。周縁労働力を作り出す。人材派遣で民営化。移住の促進。受け入れ先の情報。移住への動機を強める。憧れをもたせて踏み切らせる。受け入れ地域が文化的などの中枢として。関係の確立は情報格差を。中心の文明からの遅れを自覚させる。国際的な移住も同様のことが。暴力的な植民地支配。帝国主義的な経済進出で周辺労働力を。アジアやアフリカから移住。グローバルな中心周辺関係。劣位の感情を植え付ける。国境線があるので政府への関与は大きい。どの国の労働力を導入するかは政策で。
人口移動にも関わらず地方に生き続けた人たち。地方における貧困。中央からの遅れはなくなるのが期待されたが企業にとり利用の対象。工場移転は賃金水準の低さから。賃金が上がればメリットはない。豊かさを追求するには政府の。公共事業や補助金。地方への流入で変化。ある種の都市化?自給自足はなくなり地域的共同性も限定化される。都市的生活様式が定着した?実際は都市部農村部に関わらず全域的に浸透。過疎は共同体の維持を難しく。井戸を掘るのが困難だったり。助け合いが姿を消す。制度的な分配で可能に。金銭を対価にした課題の解決が。都市的生活様式の浸透が現実化。地方は箱物に関心を。お金が流れ込む。積極的受容。地方にはまだまだ相互扶助性が残っているという期待は持たれるべきではない。中心周辺関係において周辺にあることがもたらす貧困。地方における貧困。開発への期待。地方における貧困は地方の貧困に埋没。戸室。07年における貧困率。貧困は複合的な排除と格差による。単一の要因では説明は無理。京阪神は違う。残る分布は地方型の貧困を想定できる。都道府県別の生活保護世帯捕捉率。受給水準に有りながら受給していない訳ではない。全国的な現象である一方で。捕捉率は全国で14%。低いのは東北5県。中部9県。中国4県。四国3県。九州6県、沖縄。平均より高い府県でも保護率が急減しているところも。生活保護を受給することへのスティグマ。低貧困。地方における貧困層は見えづらく相互扶助は期待できない。
貧困の日本地図。90年代以後の経済グローバリゼーション。非正規労働者の増加とグローバルエリートを生み出す。定住を是とする価値観を否定する傾向。東京の世界都市的な。地方の衰退。周縁空間に閉じ込められた貧困も変わりつつある。

 

人間にとって貧困とは何か (放送大学教材)

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