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西洋政治思想と政治Ⅱ -近代国家の思想(政治学へのいざない第12回)

近代国家が成立してから世界を覆っているので論理の理解は今でも重要。

 

山岡龍一。近代国家の思想。西洋の政治思想の歴史。駆け足で概観。政治的なるものや政治を。17世紀から19世紀を主たる対象に。近代国家を中心に。善き生の問題が無くなったわけでは無かったが、考えるべきテーマの重心が変わった。古代にも国家はあったが。国家政府は政治学での第一義に重要な対象。様々な集団を作るが、特殊特別な集団としての国家。端的に言えば、特別な力で拘束する、我々の生死を自由にする権限を持つのが国家。国家は時代により変わるが、近代の国家のあり方が重要。ポリスからステイトへ。古代ギリシアではポリス、都市国家が主たる政治の場所空間だった。西洋においては様々な政治概念があるが、同じ「国家」を訳語にしているので誤解が。小規模中規模大規模に分けられる。防衛や戦争で特に。ポリス。小さな規模。凝集度が高い自由な政治が、小さいと大きい国に負ける。より大きくなる傾向が。拡大の例がローマ帝国。大規模国家としての帝国。大きくなると内部分裂して弱くなる。ありとあらゆる集団、人間の集団として。帝国は大きくなり過ぎて周辺の統治ができなくなりかえって弱くなる。丁度いい中規模の国家が比較的生き残りやすい?近代の国家が中規模国家。ステイト。以上はモンテスキューの議論。中規模国家としての近代国家。そのような中規模国家がヨーロッパに複数あって競争を。在る種の文明を。国家システムの中の国家を日本はモデルに。公と私の分離という現象が。個人の自立。善き生が個人化。プライベートの問題。それに対する公とは?
近代国家の論理。まずはホッブズとロック。主権国家の論理を社会契約論で説明。個人の自立。善き生の個人化。15世紀から17世紀のヨーロッパ。封建制から自由になり流動化。政治組織的には宗教の個人化。カトリック教会に対する挑戦。個人化が進んだリベラルな社会にとり良いこと?近代の危機が。権威の崩壊。その後の秩序をどうするか。政治的権威の崩壊。革命など。政治的な揺らぎからの秩序。ホッブズ。宗教と政治的イデオロギーが結びつきどのように安定した権威を?近代科学の時代でもあった。ガリレオなどが権威を否定して新しい科学技術を。ホッブズは論理を自分のものにして唯物論的な。世界のものを機械のようなものとして。一旦分解して組み立てる方法論。近代科学は知的な力を。宗教的党派性から自由。近代科学により権威が確立できるなら権威も可能。思考実験上で。
自然状態。歴史的なものではなく。人間は元々は自由で平等という前提。それが特別な問題を引き起こすので解決するために国家を。自然状態は戦争状態?互いに対して狼。間違っていけないのは邪悪だと言っているわけではない。自然状態という一種の状態構造におかれると互いに戦争状態になるという論理的な。リスクにおいては平等。人間の平等。何も制約がないから何をしても良い自由が。平等で自由であると自分の生命財産を守るのに備える。予想する能力を持つので予め攻撃を。これを全員が考えると先制攻撃が合理的に。平和を追求することが戦争をもたらす。パラドックス。平和を消極的に捉えるしかない。自己保存は譲ることが出来ない。全員が放棄して一人の人格に預ける。主権者が権威になる。消極的平和主義。国家は平和の保障のために。自然状態では絶対だが平和ではないので一人に預ける。自由の権利と行使を握る。主権者の仕事は全員の放棄で。放棄していない人間を強制させる、平和の論理。近代国家の説明が可能。主権概念は予め確定されていた。ボダン。国家の対外的独立。内部では全ての人が従う。科学的方法でホッブズは説明。主権者の命令は絶対。法律として。とても圧力が強い。主目的は平和の維持。全ては法律で縛れない。法律の決めたことについては従うが、決めていないことは絶対的自由。ルールの下では平等で自由。各自の自由。しかし衝突するのでその回避のための法律であり主権国家。商業など近代的自由を呈示。
ロック。ホッブズと同じ社会契約論だが修正?あたかも乗り越えたかのように。実際は絶対主義のイデオロギー、王権神授説の否定が意図。一応対比させた。自然状態ではホッブズと同じようだが秩序が。自然法。何が正義であるかなどある程度は分かるはず。自然法があるから所有権も財産も所持している。ホッブズは所有権はないと考えたが。私的所有財産があると。生命自由財産を所持。そうだとすると脱却する必要はない?不都合。侵害する人が出てくるのでそれに対し自然法で人が処罰する。裁判をする必要。各個人が私的に判断すると不公平が。公平性の欠如が不都合。公平で不偏の審判が必要。安定的な享受のための。そのための国家。審判としての国家。政府というものを信託の結果生まれるものと。バラバラの個人が集まり共同体を作り政府に信託する。トラスト。Trust。政治は信頼の問題。裏切られるかもしれないことを前提。ホッブズは従うしか無いが、ロックは一応は信頼すると。裏切られた場合は、それに対し回復が必要。最悪の場合は革命で政府を倒す。倒しても無政府状態ではなくルールがあるから権威が無いわけではない。それに基づき政府を作る。Revolution。ある種の現実的な政府。裏切る場合に備える。信託という概念を。既にホッブズで自由主義的論理があったが、権力の制限を加える。近代国家の自由主義的な。
近代的個人のもとでの国家が以上。修正の論理を幾つか。ルソーとヘーゲル。
ルソー。社会契約論を引き継ぎつつ再提示。近代国家批判、近代社会批判。不平等起源説。元々は産まれた頃はバラバラの生活をする人間だった。トラのように個体として生きる。あくまで寓話だが。根源的に社会のないところまで人間を落とす社会実験。自然と一体となっていたが社会を加える。自由意志を持っていたのて変えていく。人間の心理の変化。ある種の平和なメンタリティを動物と同様に。憐憫の情を持っていたはず。自己保存のための本能を持っていたのが元々。社会を形成すると自己保存が虚栄心に変わる。他人の目を通じて。欲しい物以上のものを追求する。本来的感情からの逸脱。サロンに対する蔑み、嫌悪感?社会の中で生きることで敵対しないのが敵対するように。虚栄心から競争心が。人間の理性を発達させるが競争も激化。産業や科学の発達や私的所有。様々な不平等、格差が。虚栄心同士の対立。国家は欺瞞であると。既に貧富の差が。共通のルールで所有権を守るのは今ある不平等を固定化。相対的に富の形や社会的地位が有利な者が固定化。隷属関係をより酷く。近代社会国家批判。答えを社会契約論で。エミール。自然に帰れ。自由の回復は対立関係になった人間を自由の共同体に帰すこと。いわば各個人が権利を放棄する論理を強烈にする。全ての権利を放棄。作った国家、共和国を。全ての人間が一体に。一体化の実現。全ての人が主人であり家来。疎外の克服。全員が権威を放棄。政府という形で信託することにロックはなっていた。ルソーは全ての人間が権利を放棄する共和国。特定の人の利益で他人を押しつぶすことのないよう。自己支配。自分が自分の支配をするのを全体的に。一般意志。共同体が生み出す共通の利益の意識。全ての人間が充分な情報を与えられ共同体の利益を話し合う結論こそが一般意志。自分自身に対する命令だから誤らない。集合的な自己支配。一般意志が誤らない。具体化が立法。一体政治は不可能に。政治は個別の問題に対処する必要。ルソーはエージェントとしての政府を。政府というのはジレンマを。ブレンドは国家によるが、現実的に必要なことを認めつつ腐敗の可能性があると。一般意志は現実化されないと。代議制の否定。人民集会など直接民主的。非常に両義的。あくまで論理であり批判的な原理。ルソー自身が考えたのは小規模な共和国。
ヘーゲル。若い頃はルソー主義者として自己理解を。ルソーの共和国が古代ギリシアの共和国の現実化。ヘーゲルは近代国家を意識。古代人の自由と近代人の自由。政治への参加とプライバシーの保護。古代社会は戦争が中心で参加しないと。近代社会は商業の自由。コンスタン。フランス革命の暴走。どういう形でルソー主義者でありつつ近代国家を。端的に言えば、ホッブズやロックは市民社会。バラバラの個人を外枠として守るのが近代の市民社会。欲望の体系。市場への参加で重要性を認め合う。しかし本来の自由を実現できない。各自の権利を守るが貧富の差が生じて権利が守られないかも。不満が出て社会の凝集力を失う。義務を理解する必要が。倫理的国家。自分の利益を守るだけではなく共同体が必要であり義務の履行が必要。市場社会を否定しない一方で国家という政治的共同体の意識を。ヘーゲル以降の福祉国家の思考を先取り。個人の自由だけではなく実質的な自由を享受できるように。そのために義務が必要。現代国家論。
ヘーゲルの論理が福祉国家を準備。積極的自由へ。国家への自由。20世紀になり福祉国家が主要だったが批判される。全体主義のような過剰な国家。グローバリゼーションで国家で全てをするのは不可能。ヘーゲルの論理そのものを追うなら国家でなくて倫理的なものを。公共性が重要。NPOなど。ボランタリーアソシエーション。国家外の政治アクターが重要に。しかし大きな外枠としての国家は今でも重要。限界も認識すべきだが。

 

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